タイトル |
キク(輪ギク、スプレーギク)の直挿し栽培法 |
担当機関 |
宮城県園芸試験場 |
研究期間 |
1995~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
キクの直挿し栽培の手順は、床の準備、挿し穂の水あげ、直挿し、かん水、殺菌剤かん注、べたがけ・しゃ光、除覆である。施設内での輪ギク直挿し栽培は、慣行砂上げ苗定植に比べて初期生育が良く、切り花長も長く、切り花品質に優れ、上物率が高い。また、直挿し栽培はスプレーギクでも利用できる。
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背景・ねらい |
キクの「直挿し」とは、育苗を一切省略し、挿し穂をそのまま本圃に挿して栽培する有望な新栽培法である。西南暖地では実際に夏秋ギクなどを使って栽培されているが、北日本の秋ギクやスプレーギク栽培ではこの技術が確立されていない。このため、施設内における輪ギクとスプレーギクの電照・シェード栽培で、直挿し栽培と慣行の砂上げ苗定植を比較し、直挿し栽培の栽培適応性を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 直挿し栽培の方法は下記のとおり。活着以降の管理は慣行でよい。
- 直挿し床の基肥は砂上げ苗定植と同程度(a当たりの窒素成分量は輪ギクで1.5kg、スプレーギクで1.0kg程度)でよく、耕うん・整地も慣行どおりでよい。
- 挿し穂を調整し、水あげは水道水に1時間程度浸漬する。
- 挿し穂に発根剤をつけて深さ2cm程度に挿す。土壌の硬い圃場ではコテなどの道具を使う。直挿し後、たっぷりとかん水を行う(13 l/㎡程度)。
- かん水後、1㎡当たり2~3 l程度殺菌剤をかん注して、立枯病の発生を防止する。
- 挿し穂の乾燥を防止するため、かん注後ポリフィルムでべたがけし、寒冷しゃなどで遮光する。
- 除覆は挿し穂が発根し、根の長さが1cm以上にそろったことを確認できる10日前後とする。その後葉水をし、3~4日の間は寒冷しゃなどで遮光を続ける。
- 輪ギクの12月出し電照栽培及び7月出しシェード栽培での直挿しは、慣行砂上げ苗定植に比べて初期生育が良く、切り花長が長く、切り花品質に優れ、上物率が高い(表1、表2)。
- スプレーギクの3月出し栽培及び9月出し栽培での直挿しは、慣行の砂上げ苗定植と同等の生育経過、切り花品質を示す(表3、表4)。
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成果の活用面・留意点 |
発根期が夏の高温期にあたる輪ギクの12月出し直挿し栽培は、西南暖地では葉のしおれや腐敗が発生しやすいとされていたが、特段の支障はない。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育苗
乾燥
きく
栽培技術
立枯病
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