福島県における耐冷，耐病，良食味水稲新品種候補「東北１５７号」の採用

• 担当機関: 同農業試験場冷害試験地
• 研究期間: 1996～1996
• 発行年度: 1996
• 要約: 「東北157号」は「ひとめぼれ」以上の耐冷性と「チヨニシキ」並の耐病性を持った良食味系統である。福島県の標高450m以上の中山間稲作地帯の「初星」を対象に奨励品種に採用する。
• 背景・ねらい: 福島県における標高450～550mの中山間稲作地帯では; 主に「初星」が作付けされている。; 「初星」は中山間地で作付け可能な品種の中では良食味である反面、; 耐病性（いもち病）、障害型耐冷性が不十分なため、; 昭和63年以降の冷害年及びいもち病多発年において、; その被害を大きくする要因となった。; また、高温年においては乳白米が発生しやすいなどの理由から; 平成2年以降作付け面積が大きく減少している。; この地域では「初星」に代わる耐病性、耐冷性の強い良食味品種が求められている。

成果の内容・特徴

1. 「東北157号」は宮城県古川農業試験場において「東北141号」(後の「こころまち」)
   を母とし、「東北142号」を父として交配、育成された系統である。
   
2. 「東北157号」の出穂、成熟期は「初星」よりやや早く、「初星」よりやや早い中生の
   早である。
   
3. 稈長は「初星」並の中稈で、穂長はやや長く、穂数は「初星」並の偏穂数型である。
   
4. いもち病真性抵抗性遺伝子はPi-a, i と推定される。圃場抵抗性は「初星」
   より明らかに強く、葉いもち、穂いもちいずれも“強”で「チヨニシキ」並である。
   
5. 耐冷性は「ひとめぼれ」より優る“極強”である。
   
6. 耐倒伏性は「初星」並の“中”である。
   
7. 収量性は「初星」より優る。玄米はやや細長く、乳白米が散見されるが、
   発生は「初星」より明らかに少ない。光沢良く、玄米品質は「初星」より優る。
   食味は「初星」並である。
   (特性一覧)
8. 標高450m以上に作付けされている初星対象で、普及見込み面積は4,500haである。
   (普及見込み地帯)

成果の活用面・留意点

1. 耐倒伏性は初星並であり、多肥栽培では倒伏する可能性があるので留意する。
   
2. 多肥栽培では草姿がやや乱れることがある。
   

• カテゴリ: いもち病 新品種 水稲 中山間地域 抵抗性 抵抗性遺伝子 凍害 品種 良食味