リンゴ腐らん病り病樹皮におけるペクチンの可溶化

タイトル リンゴ腐らん病り病樹皮におけるペクチンの可溶化
担当機関 果樹試験場
研究期間 1996~2000
研究担当者
発行年度 1996
要約 腐らん病に侵されたリンゴ樹皮から抽出したペクチンは可溶化されており、可溶化されたペクチンは分子量が減少し、陰イオン交換体に吸着されやすい。腐らん病の病斑においてみられる樹皮の軟化は、ペクチンの分解、可溶化によって引き起こされることが示唆される。
背景・ねらい 植物組織の軟化には、ペクチンの分解・可溶化が関係していると考えられている。
リンゴ腐らん病はリンゴ樹の枝幹に発病し、その病斑が伸展する際には、
樹皮の速やかな褐変及び軟化をともなう。そこで、
リンゴ腐らん病病斑部の樹皮(以下、病斑)及び病斑部周辺の健全な樹皮
(以下、健全樹皮)からペクチンを分別抽出し、その性状を比較することによって
腐らん病の病徴発現に関与する要因を知るてがかりとする。
成果の内容・特徴
  1. 健全樹皮及び病斑からペクチンを分別抽出し定量すると、
    病斑においては水溶性ペクチンが増加し、不溶性ペクチンが減少した。
    なお、健全樹皮から水溶性ペクチンは抽出されなかった
    (図1)。
  2. 水溶性ペクチンの分子量は、不溶性ペクチンの分子量と比較し、
    より小さい側に分布していた(図2)。
  3. 抽出されたペクチンの陰イオン交換体に対する吸着性では、
    水溶性ペクチンはそのほとんどが吸着された。不溶性ペクチンにおいては、
    健全樹皮由来のものは吸着されない成分が多くみられたのに対し、
    病斑由来のものはほとんどが吸着された(図3)。
  4. ペクチンの性状変化が腐らん病菌の作用によることを確認するため、
    腐らん病菌をペクチンを加えた培地上で培養した。
    その結果、培養ろ液中のペクチンにおいて分子量の減少及び陰イオン交換体に対する
    吸着性の増大がみられた。
  5. Cup-plate法(酵素基質を含んだ寒天平板に開けた小孔に酵素液を入れて
    活性を検出する方法)において、病斑にはペクチナーゼ活性がみられたが、
    健全樹皮にはみられなかった(図4)。
    本試験の結果、腐らん病の病斑においてみられる樹皮の軟化は、
    ペクチンの分解・可溶化によって引き起こされることが示唆された。
成果の活用面・留意点 試験の結果、
腐らん病菌によって樹皮に含まれるペクチンが可溶化されることが明らかになった。
今後、菌の生産するペクチン分解酵素を単離し、その性状を明らかにする必要がある。
図表1 230970-1.gif
図表2 230970-2.gif
図表3 230970-3.gif
図表4 230970-4.gif
カテゴリ りんご

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