タイトル |
ホームユース栽培キクの簡易・迅速窒素栄養診断 |
担当機関 |
宮城県園芸試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
7月出し短日処理のホームユース栽培キクの生葉及び土壌溶液の硝酸濃度を小型反射式光度計で測定することで、窒素栄養状態を簡易・迅速に判断できる。
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背景・ねらい |
栽培期間を短縮し施設の利用率を高め、 低コストで安価な切り花生産を指向するホームユース栽培キクは、 普通作型に比べて切り花長も短く養分吸収量も少ない。 そのため、簡易な窒素栄養診断技術を開発し、 窒素の過剰施用を回避し持続的な生産性の確保を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 生葉の硝酸イオン濃度の測定方法
葉位を上・中・下に3等分し、各位の中程の葉1枚を数株で採取し、 乳鉢で磨砕後にろ過て得た液にメルク社製硝酸イオン試験紙を浸し、 1分後の発色を小型反射式光度計で測定する。
- 土壌溶液の硝酸イオンの測定方法
チューブを付けたセラミックカップを土中に埋設し、 溶液採取の前日に注射円筒で減圧吸引しておく。 採取した溶液に上記試験紙を浸し小型反射式光度計で測定する。
- 診断のための生葉の硝酸イオン濃度の適正範囲と診断の適期
(図1~2) 生葉の硝酸濃度は切り花長及び切り花重を確保できる濃度でも、 葉色が低い場合がある。 「天寿」での生葉硝酸濃度について、 下限は葉色確保、上限は切り花長・重の漸減傾向に重点をおいて検討し、 適正濃度範囲を次のように判断した。 短日処理前の栄養生長期で上位葉2500~3500、中位葉3000~4000、下位葉2500~3500、 短日処理後の生殖生長期で上位葉4000~5000、中位葉3500~4500、下位葉3500~4500 ppm( g/g 生体)である。 診断の時期は短日処理前は定植後20~40日前後、 短日処理後は定植後60日頃が最も適する。
- 土壌溶液の硝酸イオン濃度と開花期の乾物量
(図3) 短日処理後の硝酸イオン濃度は1000mg/l程度が良く、 1500mg/l以上では乾物率が低下し乾物重が軽くなる傾向があると考えられる。
- 生葉の硝酸イオン濃度と葉色
短日処理前には正の相関傾向が認められ、施肥方法等の違いによるフレも少ないが、 (図4)、 短日処理後では試験年次で傾向が異なり、葉色による栄養診断は精度が低い。
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成果の活用面・留意点 |
生葉硝酸濃度の定量では、試料重量1~2g、細切りして蒸留水を少量添加、 磨砕後に蒸留水50mlを添加する。葉緑素等の着色による発色妨害は実用上問題ない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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きく
栽培技術
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低コスト
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