タイトル |
畑土壌のpHとEC値による塩基飽和度及びCEC値の推定 |
担当機関 |
宮城県園芸試験場 |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
畑土壌のpH値とEC値を用いた重回帰式あるいは両者の和を用いた単回帰式により、塩基飽和度が簡易に推定でき、この値と塩基当量値からCEC値の推定も可能である。
|
背景・ねらい |
施設土壌では養分の集積が進み、大量の硝酸態窒素の影響で塩基飽和度の割には pH値が低く測定されるため、診断を誤り塩基資材の投入がなされる場合もある。 そこで、pHとEC値から塩基飽和度及びCEC値を検定することにより、 生産現場での簡易な診断を可能とする。
|
成果の内容・特徴 |
- 調査した土壌のpH(H2O)値の度数分布
県内畑土壌719点、内露地畑211点、施設土壌508点の土壌診断分析値から pHは5.5~6.5に分布が多かったが、pH7.0以上の土壌は5%程度と少なく、 pH5以下の土壌は30%程度を占めやや酸性側に偏っていた (図1)。 なお、EC値は0.3以下と0.5~1.5とに分布が多く、 露地圃場と施設圃場の差を反映したものとみられた。
- 各分析項目の塩基飽和度に対する相関
塩基飽和度に対する単相関係数は、EC値で高くpH値ではやや低いが、 両者の和をとると相関係数は高まった(表1)。
- pH(H2O)値とEC(1:5)値からの塩基飽和度の推定
pH値とEC値を説明変数とした重回帰式から、塩基飽和度が精度良く推定できた(式1)。 推定の精度は塩基飽和度100前後の時に高く、 実測値の低い時に高めに、高いときには低目に推定される傾向がある (図2)。 (式1) 推定塩基飽和度=28.7×pH+41.8×EC-92.9 (R2=0.859) また、現場でのより簡便な診断には、 pHとEC値の和を用いた式2の単回帰式が有効であった (図3)。 (式2) 推定塩基飽和度=35.9×(pH+EC)-130.9 (R2=0.826)
- 推定塩基飽和度からのCEC値の推定
石灰、苦土、カリ当量濃度の合計値を推定塩基飽和度で除して 100倍することによってCEC値が推定でき、 実測値ともCEC15~30付近で特に高い推定精度を示し、 簡易診断として利用可能であった(図4)。
|
成果の活用面・留意点 |
土壌の酸性程度を判断するための、現場即応的な手法として活用する。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
図表5 |
|
カテゴリ |
肥料
簡易診断
土壌診断
|