タイトル |
リンゴに寄生するナミハダニの簡易密度調査法 |
担当機関 |
秋田県果樹試験場鹿角分場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
プリント記録法を実用的に改良した粘着ポリウレタンと感水紙を用いたリンゴのナミハダニの簡易寄生密度調査法は、防除適期を決定するための方法として有効である。
|
背景・ねらい |
リンゴの害虫であるナミハダニは、雌成虫での体長が0.5mm程度と小さく、 黄緑型の体色は葉色に近いことから、直視法による寄生虫数の確認は困難である。 ハダニ類の計数法の中でもプリント記録法は 寄生葉を白紙に押し付けてハダニ類を潰し、 その斑点から個体数を確認する方法で野外で簡単に実施できる。 しかし、この方法をリンゴで行う場合は、 リンゴ葉は葉脈が太く、毛茸も多いことから、ハダニ類はプリントされ難い。 そこで、これらの点を改善したリンゴのナミハダニの簡易寄生密度調査器を作成し、 実用性を検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- リンゴのナミハダニの寄生密度は、粘着ポリウレタン、感水紙、ローラーからなる
簡易寄生密度調査器を用いたプリント記録法で、簡便に調査できる (図1、図2)。
- ハダニ採取器の採取率は、寄生虫数が180頭/30葉程度以下で
約90~95%の範囲であったが、それ以上に寄生虫数が増加すると低下した。
- 寄生虫数と感水紙へのプリント数の関係では、
寄生虫数が増加すると発生斑点数も増加したが、 プリント率は寄生虫数が150頭/30葉程度以上では低下した (図3)。
- 現地個体群の簡易調査法とブラッシング法の発生消長調査の比較では、
ブラッシング法による寄生虫数が100頭/30葉以下では、 簡易調査法の結果もほぼ同等であったが、それ以上に寄生数が増加すると 簡易調査法での発色斑点数はあまり増加しなくなった (図4)。
- 以上から、簡易寄生密度調査法は
ナミハダニの発生がきわめて多い場合には不適であるが、 要防除密度調査及び、予防適期を判定する方法として実用性がある。
|
成果の活用面・留意点 |
- 簡易寄生密度調査器は安価に作成でき、
リンゴ生産者がハダニ類の防除適期を決定するための手段として利用できる。
- 簡易寄生密度調査器の粘着ポリウレタン部は表面が劣化し易いことから、
必ずカバー(剥離紙部)を被せて保管する。 また、感水紙は水分で簡単に発色するため、表面には直接手を触れないようにし、 調査葉が濡れている場合は使用できないので注意する。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
カテゴリ |
病害虫
害虫
防除
りんご
|