タイトル |
モモ園における草生栽培の果実品質向上に対する効果 |
担当機関 |
福島県果樹試験場 |
研究期間 |
1996~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
草生栽培では、5月から収穫期まで樹体への窒素供給が制限されるが、果実肥大、樹の生産性にほとんど悪影響を及ぼさず、果実の着色向上効果がある。
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背景・ねらい |
草生栽培は有機物の補給、土壌の侵食防止等の利点があるが、 樹と草の間の養水分の競合が問題とされている。 この競合を果実品質の向上にとって有利に働かせるため、 清耕栽培との比較で、草生園における養水分の挙動、果実品質の違いを検討する。
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成果の内容・特徴 |
- モモ「ゆうぞら」の草生及び清耕園における土層内の養水分は、
5月中旬から約1ヶ月の降雨がほとんどない間は、 土壌水分が下層から上層へ移行(水分収支法で30mm前後)し、 硝酸態窒素は清耕園では地表面近くに滞留したが、草生園では著しく低い値で、 草により吸収されたと推定される(図1)。 9月に草をすき込み、更新した場合には 土壌溶液中窒素濃度は清耕園と同程度に上昇する(図略)。
- 草生栽培下では清耕と比較し、新梢長は短く、主幹断面積は小さく収量も少ないが、
明らかな樹勢の低下は観察されず、主幹断面積あたりの収量にはほとんど差がない。 果実品質は、草生園では1果平均重がやや小さいが 着色良果率が明らかに高く優れている。 また、果肉中窒素含有率が低く着色良果率との間に密接な関係が示唆される。 表1 樹体の生育、収量及び着色良果率 - 以上より、草生栽培園では5月以降収穫期までのモモ樹への窒素供給が制限され、
着色良果率が高くなり、果実の肥大、収量にはほとんど悪影響をおよぼさない。
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成果の活用面・留意点 |
供試ほ場と同程度の肥沃度(褐色森林土、有効土層60cm、全窒素0.2%) の園地で適応できる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
肥料
もも
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