タイトル |
組織培養を利用したサトイモの簡易増殖法 |
担当機関 |
秋田県生物資源総合開発利用センター |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
茎頂培養および腋芽増殖を利用したサトイモの簡易増殖法を確立した。本手法ではショ糖濃度の高い培地で塊茎形成後、ショ糖濃度の低い培地で腋芽を伸長させることより増殖する。得られた培養植物体は1ヶ月間の順化・育苗で定植できる。
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背景・ねらい |
山内村は「山内いものこ」で有名な県内最大のサトイモ産地であるが、 種イモ価格の高騰や種イモ貯蔵の困難性等により、産地存続の危機に陥っている。 そのため現地における優良種苗確保は緊急課題であった。 その対策として組織培養を利用した大量増殖法の開発が強く望まれていた。
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成果の内容・特徴 |
- サトイモ塊茎の茎頂部をホルモンフリーMS培地に置床し、植物体を得る。
- 得られた植物体はショ糖60g/Lを含むMS培地で培養すると塊茎を形成する。
この塊茎を上下に切り分け、ショ糖30g/Lを含むMS培地で培養すると 複数の腋芽が伸長する。この腋芽を1芽ずつ切り分けて ショ糖濃度60g/LのMS培地で培養すると再び塊茎を形成する。 培養はいずれも液体静置培養で行う。(図1) - 増殖率は1ヶ月平均3倍であるが、上記の増殖を繰り返すことにより、
最大増殖が可能である。さらに、培養期間を長くすることにより増殖率が高まり、 シュートや塊茎の大きさも増大する。
- MS培地はイノシトールなどのビタミン類を除いても、水道水を用いても、
pH4.5~7.0の範囲では、培養植物の生育に有意な差は認められない (表1~3)。 また、2年間にわたる、複数市町村の水道水を用いた培地はpHは、 いずれも生育に支障のない範囲である。
- 植物体の形で増殖を行うため、1ヶ月以上の培養後であればいつでも、
塊茎の有無に関係なく順化可能である。 順化は市販の育苗培土をいれたポリポットに植物体を移植し、 べたがけの不織布上から直接潅水することにより、約1週間で完了する。 順化後3~4週間育苗することにより、定植可能な苗となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 培養施設および育苗温室を設置することにより、
農協、市町村、地域種苗センター等で容易に培養種苗の生産が可能である。 平成9年から山内村で本手法による種苗生産を開始している。
- 培地には水道水を使用できるが、極端な水質悪化は生育に影響する恐れがあるので、
定期的な水質検査が必要である。
- 「土垂」、「乙女」、「八つ頭」、「石川早生」、
いずれの品種にも適用可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育苗
栽培技術
さといも
品種
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