絹・繭・桑素材を用いた和紙製品

タイトル 絹・繭・桑素材を用いた和紙製品
担当機関 宮城県蚕業試験場
研究期間 1997~2000
研究担当者
発行年度 1997
要約 和紙の作製に必要な絹・繭の材料調製は絹換算でアルカリ60~75%処理程度の混合がよい。また桑靭皮繊維の混入は紙強度向上に有効であり、絹の外観を生かすために1/3~1/2程度が適切である。ネリ(添加剤)はろ水性と接着剤を付与させるためにデンプンノリ・CMCが必要である。
背景・ねらい 屑絹・屑繭・桑素材等の副産物の有効利用により
農家の副収入をもたらすための利用技術の確立を目的として、
和紙への再利用を検討し、名刺・はがき等いくつかの和紙小物の試作を行った。
今回の目的用途は名刺・はがき及び賞状という簡易なものとしたが、
人の手に触れる頻度が多いため強度と印字特性が要求される。
この2つの適性を高めるための材料とネリ(添加剤)の調製を検討した。
成果の内容・特徴 材料について
  1. アルカリ61%処理の紙は、フィブリルが破壊され微細繊維状のため強度は弱く
    簀の目詰まりによるろ水性に劣る傾向にあるが、叩解性・水中分散性が良好になり、
    かつ紙の表面の凹凸をならす効果と毛羽立ち防止により印字特性が高められる。
    (表1)
    特に薄く表面に漉くとその効果が顕著である。
    (表3、下段)
  2. アルカリ72%処理の紙は、繊維が長く絡み合いによる摩擦結合で強度は強いが、
    フィブリル化が不完全なため絹そのものの光沢・風合いはあるものの
    表面の凹凸と毛羽立ちにより印字には不適切である。
    よって絹・繭の材料調製は一長一短があるが、
    その長所を生かすため絹換算でアルカリ60%~75%処理程度の混合が適切である。
    (表1)
  3. 桑靭皮繊維の混入は紙強度向上に有効であるが、混入割合を多くすると
    絹入りの光沢・地合が劣る傾向にあることから1/3~1/2程度が適切である。
    (表2)
ネリについて
  1. 一般の楮和紙に用いられるトロロアオイは
    繊維の水中分散性の向上や紙床形成等に有効であることから使用され
    紙の強度には影響しないものである。これは繊維自体の長さによる物理的強度や
    水素結合による化学的強度の差異に起因すると推測されるが、
    紙の強度向上においては絹・繭の抄紙にはトロロオイのみは不適当であり、
    ネリ(添加剤)としてデンプンノリ・CMCの接着剤が必要である。
    (表3)
成果の活用面・留意点
  1. 屑絹・屑繭・桑素材等の副産物の有効利用の一手法として
    和紙への再利用が可能である。
  2. 名刺・はがき等は印字特性を向上させるために
    表面を平滑にする材料処理が必要であるが、
    例えばランプシェード等は繊維を明瞭に残す不均一な地合の方が趣きがあり、
    目的用途に応じた材料調製が必要である。
図表1 231185-1.gif
図表2 231185-2.gif
図表3 231185-3.gif
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる