上位葉の葉いもち発生量とBLASTAMを用いた首いもち発生量の予測

タイトル 上位葉の葉いもち発生量とBLASTAMを用いた首いもち発生量の予測
担当機関 宮城県農業センター
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 出穂期における上位葉(止葉・次葉)の株当たり病斑数とBLASTAMで推定された出穂前10日間における感染好適条件出現頻度から、首いもち発病穂率を予測できる。
背景・ねらい 不必要な薬剤散布を避け、農薬の使用量を削減するには、
病害の発生予測に基づき防除要否を早めに判定する必要がある。
そこで穂いもち発生量を出穂期前までの伝染源量と気象条件に基づいて
予測できれば、穂いもち多発時に行われる傾穂期以降の薬剤散布を対象に、
その防除要否を的確に判断できると考え、その予測法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 宮城県農業センター内のいもち病無防除ササニシキ圃場で
    1987年~1998年に観察された首いもち発病穂率は、
    出穂期における上位葉(止葉・次葉)の葉いもち発生量、
    あるいは周辺のアメダス観測地点において、葉いもち発生予察システム、
    BLASTAMによって推定された出穂前10日間の感染好適条件出現頻度(感染好適度数)
    と密接な関係があり
    (表1)、
    上位葉の株当たり病斑数(C)×感染好適度数(D)
    を説明変数とする回帰式(式1)が得られた。
    y = 30.2x + 1.24(r2=0.903)式1
    ( y:首いもち発病穂率、x:上位葉病斑数×感染好適度数)
  2. クロスパリデーションによる上式のR2値(式2)は0.812と高く、
    予測力は高い。

    ( yi,-i i番目のデータ組を除いて求めた回帰式に
    i番目の説明変数を代入して求めたyiの推定値)
  3. 宮城県内の病害虫防除所巡回調査地点110ケ所で
    1990~1998年の7月第6半旬に調査した株当たり上位葉病斑数平均値と、
    県全域のアメダス観測地点18地点における感染好適度数を上式に
    代入して推定した年次別の首いもち発病穂率は、
    その観測値とよく一致しており
    (図1)、
    上式は県内全域で適合すると考えられる。
  4. 以上の結果は本回帰式により首いもちの発生量が予測可能であることを
    示している。
成果の活用面・留意点
  1. 本法では出穂期の時点で予測を行うので、
    傾穂期以降の防除要否判定に有効と考えられる。
  2. 冷害年には本回帰式の推定値よりも首いもちの被害が
    大きくなることが予想されるので、注意する。
  3. 本予測法は、無防除のイネの首いもち発生程度を出穂期に大まかに
    予想する方法であり、枝梗いもちの発生量、
    防除を行った場合の発生量等については検討できない。
図表1 231268-1.gif
図表2 231268-2.gif
カテゴリ 病害虫 いもち病 凍害 農薬 病害虫防除 防除 薬剤

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