本田で任意のイネ株にいもち病菌を無傷接種する方法

タイトル 本田で任意のイネ株にいもち病菌を無傷接種する方法
担当機関 気象制御評価研究室
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 本田の任意のイネ株にいもち病菌を無傷接種する方法を考案した。夜間に長波透過率の高い透明ポリエチレン被覆資材でイネ株を覆い、イネ体の放射冷却を妨げずに湿度を保つことによりイネ葉面に結露を生じさせていもち病菌の侵入・感染を促し、接種が行える。
背景・ねらい 的確ないもち病の防除対策を講じるには、
種々の条件下でいもち病に対するイネの感受性を的確に診断し、
施用した薬剤の効果持続期間を正確に把握することなどが重要となる。
しかし、これまで圃場の特定イネ株にいもち病菌を無傷で接種する方法が
開発されていなかったため、
上記のことを圃場条件で明らかにすることができなかった。
いもち病菌は胞子がイネ体に付着後、16度C以上の温度条件下で10時間以上稲体が
継続して濡れている条件でイネ体に侵入し、感染が成立するが、
自然条件では降雨を伴わなければ上記の条件が成立しにくい。そこで、
圃場のイネ体の熱収支を調整して長時間にわたって結露を生じさせる条件を
つくれば、圃場条件で安定して接種できるものと考えた。
成果の内容・特徴
  1. 日没時、特定の稲株にいもち病菌の胞子懸濁液を噴霧接種後、
    翌日の日の出時まで長波透過率の高いポリエチレンで
    被覆することにより接種が行える
    (表1)。
  2. 長波透過率の高い資材としては、厚さ0.05mmの軟質透明ポリエチレンフィルム
    (農ポリ)が挙げられる。農ビや農ポリと類似した農PO(ポリオレフィン系フィルム)
    は長波透過率の低いものがあるので避ける。
  3. 接種に必要な資材は被覆資材と稲株を覆う枠のみであり、
    動力や施設等は必要がなく、遠隔地の圃場においても容易に使用できる
    (図1)。
  4. 夜間晴天時、曇天時、雨天時のいずれの条件でも接種可能である
    (表1)。
  5. 異なる菌株の病原菌を同一圃場の異なる株に同時に接種することができる。
成果の活用面・留意点
  1. 種々の肥培管理を行ったイネにおけるいもち病感受性の動態評価、
    実際の栽培条件における圃場抵抗性品種の抵抗性程度の評価、
    薬剤を施用したイネにおける効果持続期間の評価など広範な目的にに使用できる。
  2. 日照がある条件では被覆枠内の温度が上昇しすぎるので、
    噴霧と被覆は日没前後に、被覆資材の取り外しは日の出後速やかに行う
    (図2)。
  3. 被覆枠内の気温は外気温とほとんど等しい。したがって、
    温度条件が低い場合には接種はできない。
  4. 感染の成立に濡れが必要な病害であれば、
    作物や病害の種類を問わず応用可能と考えられる。
図表1 231273-1.gif
図表2 231273-2.gif
図表3 231273-3.gif
カテゴリ 病害虫 いもち病 栽培条件 抵抗性 抵抗性品種 肥培管理 防除 薬剤

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