セイヨウナシ果実に黒点症状を呈する新病害

タイトル セイヨウナシ果実に黒点症状を呈する新病害
担当機関 青森県りんご試験場県南果樹研究センター
研究期間 1998~2000
研究担当者
発行年度 1998
要約 セイヨウナシに7月中旬ころから発生する果実黒点症扶は、リンゴ黒点病菌の不完全世代と同一の病原菌であるCylindrosporium pomiによって起こる病害である。
背景・ねらい 1990年ごろから青森県県南地方では、セイヨウナシの果実に黒点症状が発生し、
果実の商品価値を著しく低下させており、その発生原因の解明が求められている。
成果の内容・特徴
  1. 病斑は7月中旬ころから果点を中心とする微小点として現れ、
    やがて大きさ0.5~3mmで、やや凹み、周囲が緑色を呈する斑点となる。
    病斑直下の果肉は黒変しているが、その部分から腐敗することはない。
    発病の激しい果実では、病斑数は数十に達する。
    「ゼネラル・レクラーク」、「ラ・フランス」などに発生しているが、
    品種による発生程度の差は明らかでない
    (図1)。
  2. 病斑部から分離した菌の胞子は、
    リンゴ黒点病菌のCylindrosporium型分生子の形態とほぼ一致する
    (表1)。
  3. セイヨウナシ果実に、
    セイヨウナシ分離菌の胞子およびリンゴ黒点病菌のCylindrosporium型分生子を無傷接種した結果、いずれも黒点症状を発現し、
    病斑部から接種菌と同一菌が再分離される。また、
    セイヨウナシ分離菌をリンゴ果実に無傷接種した場合、
    リンゴ黒点病の病徴を呈し、接種菌と同一菌が再分離される
    (表2)。
  4. 以上から、セイヨウナシ果実に生じる黒点症状は、
    リンゴ黒点病菌の不完全世代と同一の
    Cylindrosporium pomi Brooksによる病害である。
成果の活用面・留意点
  1. セイヨウナシの黒点症状の原因が明らかとなったため、
    6,7月にキャプタン・有機銅剤を散布することにより、黒星病、
    輪紋病などと同時防除でき、良品生産に寄与する。
  2. 病名をセイヨウナシ黒点病として提案している(平成11年4月、
    日本植物病理学会)
図表1 231312-1.gif
図表2 231312-2.gif
図表3 231312-3.gif
カテゴリ 肥料 病害虫 黒星病 品種 防除 りんご

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