タイトル |
ベノミル剤によるブドウ晩腐病の休眠期防除と低感受性菌の検出 |
担当機関 |
秋田県果樹試験場天王分場 |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ブドウ晩腐病の休眠期防除としてベノミル剤を連年使用した結果、同薬剤に対する低感受性菌株か検出された。これらは、ジエトフェンカルブ剤に対しても低感受性を示し、従来のGlomerella cingulata とは異なるColletotrichum acutatumと同定される。
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背景・ねらい |
ブドウ晩腐病は、休眠期にベノミル剤により防除されているが、 同剤は連年使用により効力の低下する恐れかある。 そこで同剤に対する晩腐病菌の感受性を検討するとともに、 代替剤として有効な薬剤の検索を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 晩腐病の休眠期防除剤としてベノミル剤を連用した圃場では、
使用3年目(1994)には同剤の防除効果がやや低下傾向を示す。 分離菌株のベノミル感受性検定の結果、 感受性の低下した菌が65.8%、また感受性菌が34.2%の割合で検出された (表1)。
- ブドウ晩腐病菌の菌糸生育に対するベノミル剤の最小生育阻止濃度
(MlC)の頻度分布曲線は2峰性を示し (表1)、接種試験の結果、 MIC 1μg/ミリリットルの菌株は感受性菌、 MIC 1000μg/ミリリットルの菌株は低感受性菌と判定された (表2)。
- ベノミル剤に低感受性を示す菌株は、
ジェトフェンカルブ剤に対しても低感受性を示し(R,R)、 負相関交さ耐性の関係は見られない (表3)。
- 分離菌株の培地上での菌そうの性状、分生子の形態および大きさ、
さらに種特異的プライマーでのPCR増幅により、 ベノミル剤に感受性、ジェトフェンカルブ剤に低感受性を示す菌株 (S,R)はColletotrichum gloeosporioides、また両薬剤に低感受性 (R,R)を示す菌株はColletotrichum acutatumと同定された (表3)。
- ベノミル剤の代替剤としてTPN剤、ベノミル・チウラム剤、イミノクタジン酢
酸塩剤が有効である (表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- ベノミル剤の連用により、同剤に感受性の低下する菌が漸増し、効力の低下が懸念
される。
- ブドウ晩腐病にはC.gloeosporioides(完全世代:Glomerella cingulata)他に
C.acutatumも関与し、ブドウ園に広く分布する可能性がある。
- ベノミル低感受性菌に対し、TPN剤、ベノミル・チウラム剤、イミノクタジン
酢酸塩剤等による防除が可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
ぶどう
防除
薬剤
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