タイトル |
ミルキングパーラー排水用低コスト浄化槽の開発 |
担当機関 |
岩手県農業研究センター畜産研究所 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
FRP製容器を用いてミルキンパパーラー排水用簡易浄化槽を試作し、SS約600mg/L程度、BOD約2,000mg/L程度のパーラー排水を毎日1立方メートル程度処理したところ、常に水質汚濁防止法の排出基準以下の最終処理水が得られた。この浄化槽の施設費は、自家施工で約90万円であった。
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背景・ねらい |
酪農経営の大規模化に伴い、パイプラインやバルククーラーなどの 洗浄水など搾乳施設からの排水の処理が問題となりつつある。これらの排水は 無処理で放流されるケースも多く、地下水の汚染や土壌汚染など 周辺環境への悪影響が懸念されている。すでに企業により各種の汚水処理施設が 開発・販売されているものの、いずれも多大な施設費を要し、 個々の酪農家が容易に導入できないのが現状である。 そこで、FRP製容器などの廉価な資材を用いて ミルキングパーラー排水用簡易浄化槽を試作し、その性能について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 試作した簡易浄化槽の概要
- FRP製円筒型容器(2.6立方メートル)及び発泡スチロール廃材を利用して、
図1に示した構造の浄化槽を製作した。
- 浄化槽の処理様式は、活性汚泥法と生物膜法を組み合わせたものである。
- 処理成績
- 表1に示したような性状のミルキングパーラー排水を
1日当たり約1.0~1.3立方メートル程度流入させた。曝気は24時間連続曝気とし、 タイマーを用いて1日3~4回(各15~30分)半定量的に汚泥返送を行った。
- 最終処理水のSS、BODは、常に排出基準(SS 200mg/L、BOD 160mg/L)以下であった。
特に、平成9年7月以降は、SS、BODが20mg/L前後、 あるいはそれ以下の良好な処理水が得られた(図2)。
- SS、BOD以外の成分についても、排出基準以下に浄化されていることが確認された
(表2)。
- 最終処理水の大腸菌群数を計測したところ、
排出基準(3,000個/ml)以下の200個/mlであった。
- 施設費及びランニングコスト
- 本浄化槽の施設費は、資材費のみで約90万円であった。
工事費込みの場合は約130万円程度と見積もられる。
- 本浄化槽のランニングコストは、ブロアー(消費電力0.75kWh)の電気代のみで、
1ケ月当たり約13,000円程度と見積もられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 市販の合併浄化槽の場合、BOD 500~1,000mg/L程度の排水を1日当たり
1~2立方メートル処理できる能力を持つもので、施設費が約700~800万円程度 (工事費込み)になると見積もられており、 本浄化槽の導入により大幅なコスト低減が期待できる。
- BOD2,000mg/L程度のパーラー排水を1日1立方メートル処理(BOD負荷で2kg/日)
することを計画して、設計したものである。これを超える負荷の場合には、 槽の容量や数について検討する必要がある。
- リンの除去率が特に低いので、今後、
低コストで効率的なリンの除去方法について検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
コスト
大規模化
低コスト
乳牛
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