公共牧場における食餌性条件反射を利用した黒毛和種親子放牧の実証

タイトル 公共牧場における食餌性条件反射を利用した黒毛和種親子放牧の実証
担当機関 岩手県農業研究センター畜産研究所
研究期間 1995~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 黒毛和種放牧を促進するため、公共牧場に食餌性条件反応を利用した集畜技術を導入したことにより、看視・繁殖管理作業の省力化が図られるとともに、哺乳期間中の子牛の適正な増体量を確保することができた。
背景・ねらい 公共牧場を有効に活用するためには
黒毛和種の放牧促進を図ることが重要な課題となっている。しかしながら、
黒毛和種は人工授精を必要とし、さらに泌乳量が少なく現状の放牧管理技術では
子牛の発育が低位で子牛市場価格が安いことから
放牧を促進する阻害要因となっている。
そこで、公共牧場での黒毛和種親子放牧を促進するため、
平成7年度岩手県試験研究成果の食餌性条件反応による
省力繁殖管理及び子牛別飼施設を利用した技術を体系化して遠野市貞任牧野で実証し、
良好な結果が得られたので参考に供する。
成果の内容・特徴
  1. 集畜スペースの概要および利用方法(図1)
    1. 集畜スペースは、利用する放牧地の平坦な場所に、
      牧区輪換へ支障のないよう設置する。
    2. 面積は成牛の集畜場が1頭当0.1a、子牛別飼施設が1頭当0.5aで、泥濘化対策が必要。
    3. 子牛別飼施設は親子分離できるゲート(柱間隔1m、高さ120、80cmの2段張り)で仕切る。
      また、親子ともに濃厚飼料給餌のための飼槽を置く。
    4. 集畜用音源(馬鈴、スピーカー音など)を設置する。
  2. 集畜及び親子分離方法
    1. 音を鳴らして施設に集畜し、成牛に濃厚飼料を1頭当150~200g与え、
      子牛は1頭当体重の0.2~0.5%の濃厚飼料を与える。
    2. 親子分離・子牛の馴致方法は、集畜後4~5人で子牛全頭を別飼施設へ誘導し、
      濃厚飼料を給餌しながら約10分間閉じこめておく。
  3. 導入技術の効果
    1. 食餌性条件反応による牛群管理の省力化
      条件音のみでの誘導頭数率は施設導入年で概ね80%以上であり、
      施設導入2年目では強制的な馴致を行わなくても概ね70%以上の誘導ができる
      (表1)。
      看視人の労力は、集畜することによって看視作業で3割程度、
      発情牛捕獲・保定作業で7割程度省力化できる(表2)。
    2. 子牛の発育成績(1~4ヶ月齢)
      放牧期間中の子牛の発育は、施設導入年及び2年目ともDG0.7kg以上を確保できた
      (表3)。
  4. 施設導入経費
    黒毛和種牛群80組規模の施設導入経費は、
    集畜スペース舗装を除けば資材費だけで100万円程度で自力施工も可能である
    (表4)。
  1. 活用面
    1. 公共牧場を有する黒毛和種繁殖経営地帯において活用できる。
成果の活用面・留意点
  1. 活用面
    1. 公共牧場を有する黒毛和種繁殖経営地帯において活用できる。
  2. 留意点
    1. 施設導入に当たって要人工授精群と妊娠牛群とで編成される
      牛群管理が整っている体制であること。
    2. 集畜音の設置は立地条件(起伏、距離)を勘案して遠くまで聞こえるよう配慮する。
    3. 集畜に当たっては、あらかじめ10日程度の馴致期間が必要であり、
      子牛においては他に毎月馴致が必要である。
    4. 子牛の別飼に関しては、入牧前に別飼飼料に対しての馴致をしていることが望ましい。
図表1 231390-1.gif
図表2 231390-2.gif
図表3 231390-3.gif
図表4 231390-4.gif
図表5 231390-5.gif
カテゴリ 管理技術 経営管理 省力化 繁殖性改善

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