ダイズわい化ウイルス(SbDV)4系統の全塩基配列の決定と比較

タイトル ダイズわい化ウイルス(SbDV)4系統の全塩基配列の決定と比較
担当機関 作物開発部上席研究官室
研究期間 1999~2000
研究担当者
発行年度 1999
要約 病徴型およびアブラムシ媒介性により類別されるSbDV4系統の全塩基配列を決定した。いずれも5つの翻訳領域(ORF)を有し、塩基配列の相同性は同じ病徴型の系統間で高いが、ORF5の5'末端領域にアブラムシ媒介性との相関が認められる。
背景・ねらい ダイズわい化病は北日本におけるダイズ生産に最も深刻な被害を与えており、本病
抵抗性品種の早急な育成が望まれている。その病原であるSbDVは、病徴型と
アブラムシ媒介性の違いにより、ジャガイモヒゲナガアブラムシで媒介される
黄化系統(YS)とわい化系統(DS)、及びエンドウヒゲナガアブラムシで媒介される
黄化系統(YP)とわい化系統(DP)の4系統に類別されている。したがって、抵抗性
品種の育成、利用による本病防除を効率的に進めるためには、病徴型および
アブラムシ媒介性に関与する遺伝子領域を明らかにするとともに、遺伝子診断に
よりこれら各SbDV系統の発生状況を的確に把握する必要がある。
成果の内容・特徴
  1. SbDVのゲノムRNAの大きさは、YS(分離株M93-1)が5853塩基、YP(同M94-1)が
    5841塩基、DS(同HS97-8)およびDP(同M96-1)が5708塩基である(図1)。
  2. 4系統すべてのゲノムRNAが5つの翻訳領域(ORF)を持つ(図1)。なお、ORF1およびORF2は複製関連タンパク質、
    ORF3は外被タンパク質、ORF4は師部細胞間移行に関連するタンパク質をコード
    していると考えられている。また、ORF5はORF3の終止コドンのリードスルーにより
    翻訳され、その産物はアブラムシ媒介性に関与すると考えられている。
  3. 塩基配列から推定されるアミノ酸配列の相同性は、すべてのORFにおいて、同じ
    病徴型を示す系統間で高く(表1)、YSとYPおよび
    DSとDPがそれぞれ極めて近縁であると考えられる。
  4. 一方、ORF5の5'末端領域では、同じアブラムシ媒介性を示す系統間で塩基配列
    および推定アミノ酸配列の相同性が高い(表2)。
    このことから、この領域がアブラムシ媒介特異性に関与している可能性がある。
成果の活用面・留意点
  1. 本塩基配列をもとにプライマーを設計し、RT-PCR法によって感染植物からSbDVを
    検出できるほか、病徴型およびアブラムシ媒介性の判定が期待される。
図表1 231459-1.gif
図表2 231459-2.gif
図表3 231459-3.gif
カテゴリ 病害虫 大豆 抵抗性 抵抗性品種 ばれいしょ 品種 防除 わい化

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