タイトル |
リンゴ園における土壌バイオマス窒素等からの可給態窒素の推定 |
担当機関 |
秋田県果樹試験場 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
リンゴ園土壌において有機態窒素量及び土壌バイオマス窒素量の合量は窒素肥沃度の指標として用いられる培養法による可給態窒素量との間に有意な正の相関が認められ、可給態窒素量を推定する指標として有効である。
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背景・ねらい |
可給態窒素の測定には一般的に畑培養法が用いられるが、 土壌を28日間培養しなければならないため 培養準備の煩雑さや迅速性に問題がある。 可給態窒素の多くは微生物バイオマス由来で、 養分供給のうえで重要であるとされる。 そこでリンゴ園土壌での可給態窒素と微生物バイオマス窒素等との関係を解析し、 可給態窒素の推定に有用であるかどうかを検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 4月下旬に採取したリンゴ園土壌の可給態窒素量は、
表層(0~20cm)土壌と下層(20~40cm)土壌では明らかに異なり 表層の窒素量が高かった。 表層土壌の窒素量は細粒灰色低地土、表層多腐植質黒ボク土、 表層腐植質黒ボク土で高く、淡色黒ボク土、 低地造成土(灰色低地土に褐色森林土を40cm盛土造成)では低かった (表1)。
- 0.5M硫酸カリウム抽出有機態窒素(以下、有機態窒素)量は、
表層土壌、下層土壌とも淡色黒ボク土を除く黒ボク土で高く、 淡色黒ボク土、低地造成土、細粒グライ土で低かった。 有機態窒素量は表層と下層の含量差が少なかった。 土壌バイオマス窒素量は水田転換土で高かった。 土壌バイオマス窒素量においては表層と下層の含量差が大きかった (表1)。
- 有機態窒素量又は土壌バイオマス窒素量と可給態窒素量との間の相関は
表層土壌の有機態窒素量についてのみ有意な相関 (r=0.771**)が認められた。 しかし、有機態窒素量とバイオマス窒素量の合量と可給態窒素量との間には、 表層土壌、下層土壌とも有意な正の相関(表層 r=0.829**、 下層 r=0.748**)が認められた (表2)。
- 有機態窒素量と土壌バイオマス窒素量の合量に対する可給態窒素量の割合は、
表層土壌と下層土壌で異なる傾向があり、表層土壌での割合が高かった (図1)。
- 有機態窒素量と土壌バイオマス窒素量の合量を用いた可給態窒素量の推定は、
従来の方法に比べ簡便で、 くん蒸及び抽出処理に要する時間は約2日で済むことから、 分析時間の短縮に有効な方法である。
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成果の活用面・留意点 |
- 採取する深さによって有機態窒素量とバイオマス窒素量の合量に対する
可給態窒素量の割合は異なるため同一の深さで採土する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
水田
りんご
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