タイトル |
市場で発生した秋冬ニラとろけ症の発生要因と軽減対策 |
担当機関 |
病理昆虫部 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
秋冬ニラとろけ症の発生には、収穫後の温度条件、輸送中の結露、包装形態等が関与している。軽減対策としては、収穫後の品温を低く保つ、包装にはメッシュ入りの鮮度保持袋を使用し通気を良くする、箱詰め形態を、ニラの切り口が圧迫されない方式に変えることが有効である。
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背景・ねらい |
秋冬ニラとろけ症は、 Pseudomonas marginalis (新称:ニラ腐敗病)による市場病害で、 収穫・調整時には健全に見えるニラの切り口や結束部分が、 市場到着時には悪臭を伴って液状に腐敗する症状を呈する。 従前より福島県産秋冬ニラの主な出荷先である 北海道内の市場で発生し問題となっているため、 本症の発生要因を究明し、軽減対策について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- とろけ症の発生には、収穫後の温度条件、輸送中の結露、
包装の形態等が関与している。
- 病原細菌を接種したニラを4~20度Cの条件下に置くと、
温度が低いほどとろけ症の発生は少ない (図1)。
- ニラは100g束に結束された後、鮮度保持のため、
10束を1つの袋に入れるという包装形態を取っている。 この袋にメッシュ(針穴)入りのものを使用して袋内の通気性を良くし、 切り口が乾燥するようにすると、とろけ症の発生は少なくなる (図2)。
- 現行の出荷形態では、ニラ10束入りの袋を段ボール箱に1箱あたり5袋、
縦詰めしているが、縦詰めは、細菌が侵入するニラの切り口がフィルムに圧迫され、 さらに輸送中の振動によって切り口の組織が傷むため、とろけ症の発生を助長する。 (図3)。
- これらの結果から、(1)収穫後できるだけ低い品温を保つ、
(2)収穫後の包装にはメッシュ入りの鮮度保持袋を使用し通気を良くする (図4)。 (3)箱詰めの形態を、ニラの切り口が圧迫されない方式に変えること、 等がとろけ症の軽減対策として有効である。
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成果の活用面・留意点 |
- 細菌に感染していれば、日数が経過すると症状は急速に広がってゆくので、
収穫・調整後は長期間保存しないことが重要である。
- 圃場で細菌に感染したニラは、伸長した葉の中央部に、
黄褐色条斑が縦に入る症状を呈する。ニラを調整する際に、 このような葉が混入しないよう留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
出荷調整
にら
輸送
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