SAGE法によるイネ耐病性関連遺伝子群の同定

タイトル SAGE法によるイネ耐病性関連遺伝子群の同定
担当機関 遺伝子工学第1研究部
研究期間 2000~2002
研究担当者 寺内良平
松村英生
発行年度 2000
要約 Serial Analysis of Gene Expression法(SAGE法)を用いて、イネの培養細胞にいもち病菌由来のエリシターを処理した時に発現の変化する耐病性関連遺伝子群を多数同定した。
背景・ねらい 遺伝子組換えにより、イネにいもち病抵抗性を付与するためには、多くの新規な耐病性関連遺伝子の単離、同定が必要である。SAGE法は、数千種類以上の遺伝子発現を一度に解析できる技術であり、これまで、動物や酵母の遺伝子発現解析で優れた成果をあげている。そこで、植物では世界で初めて、イネにSAGE法を応用し、耐病性関連遺伝子群の同定を行った。
成果の内容・特徴
  1. 材料として、イネ(品種「かけはし」)の懸濁培養細胞を用い、いもち病菌(レース007)から水溶性のエリシターを抽出して、培養細胞に処理する。
     
  2. エリシター処理後4時間の細胞と無処理の細胞からRNAを単離して、SAGE法(図1)により、各サンプルで発現している5,000種類以上の遺伝子の種類及び転写産物量を定量的に解析する(表1)。
      
  3. エリシター処理後4時間と無処理のサンプルの比較により同定された遺伝子は、エリシター処理で発現が誘導される遺伝子が139種類、エリシター処理で発現が抑制される遺伝子が、126種類である。
      
  4. エリシター処理で誘導される遺伝子群とデータベース中のイネcDNA,ESTの塩基配列との一致を検索したところ、43遺伝子が一致した。既知の塩基配列と一致した遺伝子の中には、キチナーゼなどのPRタンパク質に関わる遺伝子が多く見られ、それ以外では、植物の感染応答の情報伝達に関わると推定される遺伝子が複数見い出される(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本法により同定された遺伝子群の中には、これまでに植物の防御関連遺伝子として報告されていない遺伝子が多く含まれていることから、これらの機能を解明することにより、いもち病抵抗性を付与する新規遺伝子として利用することができる。
  2. いもち病抵抗性以外の形質についても、本法を利用することにより、特定の環境条件や組織等で特異的に発現する新規遺伝子を多数同定することができる。
図表1 231608-1.jpg
図表2 231608-2.jpg
図表3 231608-3.jpg
カテゴリ いもち病 データベース 抵抗性 品種

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