リンゴ黒点病の病原菌Mycosphaerella pomiの新宿主ニホンナシと伝染源としての役割

タイトル リンゴ黒点病の病原菌Mycosphaerella pomiの新宿主ニホンナシと伝染源としての役割
担当機関 青森県りんご試験場
研究期間 2000~2002
研究担当者 荒井茂充
発行年度 2000
要約 リンゴ黒点病の病原菌Mycosphaerella pomiの宿主として、新たにニホンナシを確認した。ニホンナシも伝染源として重要であることを明らかにした。
背景・ねらい 青森県県南地方ではリンゴ黒点病が多発しており、発生要因の解明が求められている。本地方の果樹栽培は複合化されている場合が多い。そこで発生要因解明の一つとして、本病とリンゴ以外の樹種との関係を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 果実の病斑は、7月下旬頃から果点が黒変した小点として現れるが、拡大しないのでほとんど目立たない(図1)。分離菌の分生子の形態は、リンゴ黒点病菌の不完全世代Cylindrosporium pomiと一致した(表1)。
     
  2. ニホンナシ「幸水」落葉上に、肉眼でかろうじて観察できる程度の黒色の小粒点(偽子のう殻)を生じ、越冬後の5月上旬頃から子のう胞子を形成する(図2)。偽子のう殻、子のうおよび子のう胞子の形態は、リンゴ黒点病菌Mycosphaerella pomiと一致した(表1)。
      
  3. ニホンナシ果実に、ニホンナシ分離菌およびリンゴ黒点病菌のCylindrosporium型分生子を無傷接種した結果、いずれも果点の小黒点症状が発現し、病斑部から接種菌と同一菌が再分離された。また、ニホンナシ分離菌の分生子をリンゴ果実に無傷接種した結果、リンゴ黒点病の病徴を呈し、接種菌と同一菌が再分離された(表2)。なお、これまで果実で発生を確認しているのは「幸水」だけであるが、接種試験では「多摩」、「八雲」、「長十郎」でも発病する。
  4. 以上から、ニホンナシはリンゴ黒点病の病原菌の宿主であり、リンゴ黒点病の伝染源であることが明らかとなった。
成果の活用面・留意点
     リンゴ黒点病は日本ナシも伝染源として重要であることが明らかとなったので、適切な防除対策が可能となり、良品生産に寄与する。
図表1 231642-1.jpg
図表2 231642-2.jpg
図表3 231642-3.jpg
図表4 231642-4.jpg
カテゴリ 肥料 病害虫 日本なし 発生要因分析 防除 りんご

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