タイトル |
モモチョッキリゾウムシの防除に有効な昆虫病原糸状菌の選抜 |
担当機関 |
果樹試験場 |
研究期間 |
2000~2004 |
研究担当者 |
淏泄F
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発行年度 |
2000 |
要約 |
モモチョッキリゾウムシに対して強い病原力を示す黒きょう病菌系統FRM119を選抜した。この系統の分生子を土壌に散布すると、安定して生存が可能であり、土壌中で蛹化する本害虫の防除が長期間期待できる。
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背景・ねらい |
近年性フェロモン剤利用による交信攪乱法が開発され、リンゴ害虫の防除法として実用化されている。しかしこの防除法の対象となるのは鱗翅目害虫のみであり、モモチョッキリゾウムシなど鱗翅目以外の害虫を他の方法で防除する必要がある。天敵保護等の観点から化学農薬によらない防除法の開発が強く求められている。そこで昆虫病原糸状菌を利用した防除法を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- リンゴ果実を加害するモモチョッキリゾウムシに対して病原力が強い昆虫病原糸状菌は黒きょう病菌(Metarhizium anisopliae)であった。本菌種は土壌中に生息しているため、各地より土壌を採集し、選択培地を用いて本菌種を多数分離した。その中から最も病原力が強い系統であるFRM119を選抜した。この系統は他の系統とは分生子の色が異なり、土壌に生息する在来の黒きょう病菌とは簡単に区別が可能であった。
- モモチョッキリゾウムシは土壌中で蛹化するため、土壌中に本系統が高密度に存在すると本害虫の防除が可能となる。高い病死率を得るためには本系統の分生子が土壌中に106分生子/土壌1g以上必要であった。
- FRM119の分生子を高濃度で土壌に散布すると、42日で約1/4まで漸減したが、それ以降減少はみられず、高い病死率を得るために必要な生息数(106分生子/乾土1g以上)を4ヶ月間維持した。一方、自然に生息する在来の黒きょう病菌の生息消長に変化は見られなかった(図1)。
- 散布3ヶ月後の採集土壌にモモチョッキリゾウムシの幼虫を放飼した場合、病死率は60%を越えた(図2)。最低3ヶ月間は高い病死率が得られることが明らかとなった。
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成果の活用面・留意点 |
- 選抜された菌株FRM119は土壌中に生息する在来種とは分生子の色で簡単に識別できるため、圃場試験を行う際に特に有用である。
- 実用化に向けて菌の大量培養法、散布法の検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
性フェロモン
農薬
防除
もも
りんご
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