タイトル |
複合交信攪乱剤によるナシ害虫の防除 |
担当機関 |
福島県果樹試験場 |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
阿部憲義
荒川昭弘
岡崎一博
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発行年度 |
2000 |
要約 |
ナシ害虫防除において、複合交信攪乱剤(コンフューザーP)を基幹防除剤として使用すると、化学合成殺虫剤は慣行の防除回数より3~4回減ずることができる。なお、ナシヒメシンクイの多いほ場は第3あるいは第4世代幼虫期に殺虫剤の補完散布が必要である。
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背景・ねらい |
現在、環境にやさしい農業や持続的農業生産方式の導入等が強く求められている。平成10年1月に、モモ及びナシ用の複合交信攪乱剤(コンフューザーP)が登録されたため、本県ナシにおいて、これを基幹剤とし、従来の化学合成殺虫剤を削減した合理的な害虫防除技術について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- ハマキムシ類の越冬世代成虫が発生する直前の5月中旬に、コンフューザーPを10a当たり150本の割合でナシ棚面に設置することにより、一般的なナシほ場においては、慣行の防除体系(通常12回)より3~4回の殺虫剤の削減が可能であった(図1)。
- 本交信攪乱剤はモモシンクイガに対しては安定した防除効果が期待できるが、ナシヒメシンクイに対しては第3世代成虫への攪乱効果が不安定であると考えられた。本種が例年多いほ場では、第3又は第4世代幼虫期に殺虫剤による補完散布が必要である(表1、表2)。
- 交信攪乱処理区においてリンゴコカクモンハマキ第1世代幼虫の寄生が認められた。しかし、7月下旬~8月上旬にナシヒメシンクイとの同時防除により、果実被害は回避できる(表3)。
- ‘幸水’は夏季高温時のハダニ類の寄生により、葉焼け症状が生じやすいので、殺ダニ剤を的確に散布する。ただし、‘幸水’以外の品種ではカブリダニ類の利用が期待できるので、カブリダニ類に対し影響の少ない薬剤を使用し、天敵保護を考慮した防除を心がける必要がある(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本法による防除効果を高めるため、地域共同で広域的に実施する。
- カイガラムシ類が増加傾向にあるので、今後の発生推移を注視し、防除の要否を判断する。
- 本法は傾斜地上部や実施地域周辺部では、防除効果が劣るので、攪乱剤を2~3割多めに設置するとか、実施の可否について指導機関と協議する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
傾斜地
品種
防除
もも
薬剤
りんご
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