アブラナ科野菜根こぶ病に対するおとり作物としてのエンバク(ヘイオーツ)の利用

タイトル アブラナ科野菜根こぶ病に対するおとり作物としてのエンバク(ヘイオーツ)の利用
担当機関 岩手県農業研究センター
研究期間 2000~2000
研究担当者 遠藤征彦
新田政司
大友令史 
発行年度 2000
要約 アブラナ科野菜根こぶ病菌によりエンバク(品種ヘイオーツ)は根毛感染するが根こぶは形成しない。エンバクによる根こぶ病菌密度低下が確認され、エンバクはおとり作物としても利用できる。
背景・ねらい 根こぶ病はアブラナ科野菜に大きな被害をもたらす難防除土壌伝染性病害であり、キャベツ生産においても被害は甚大である。現在は薬剤の施用が主要な防除対策となっているが、近年、消費者のニーズは多様化しており、特に環境問題に対する関心が高まり、安全でしかも高品質な生産物が望まれるようになっている。そのため、病害虫防除においても農薬への依存を少しでも軽減させる管理技術が重要となってきている。そこで、おとり作物の作付けによる本病の発病程度軽減の可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. エンバク(品種ヘイオーツ)をアブラナ科根こぶ病菌の汚染土壌で栽培すると土壌中の休眠胞子が発芽して根毛感染するが(図1,表1)、根こぶは形成されず、土壌中の休眠胞子密度は増加しない。
     
  2. 根こぶ病菌を接種した土壌でエンバクを栽培すると、菌密度が低下する(図2)。
      
  3. エンバクは根こぶ病菌の休眠胞子の発芽を誘導するが、新たな休眠胞子は形成しないので、根こぶ病に対するおとり作物となる。
      
  4. 輪作体系にエンバクを組み込んだ現地圃場(厚層多腐植質黒ボク土)で、3年間無農薬で栽培しても本病の被害は軽微であり(表2)、エンバクはキャベツ等アブラナ科野菜の短期輪作体系における輪作作物として有効と考えられる。
成果の活用面・留意点
     
  1. エンバクは病原菌を増加させないか、あるいは低密度に維持するための輪作作物として活用できる。
  2. フルスルファミド剤(商品名:ネビジン粉剤)は根こぶ病菌の休眠胞子の発芽を静菌的に阻害する作用があるため、前作で使用されている場合には、根こぶ病菌の休眠胞子が発芽せず、おとり作物の機能が十分発揮されない可能性があるので留意する必要がある。
図表1 231674-1.jpg
図表2 231674-2.jpg
図表3 231674-3.jpg
図表4 231674-4.jpg
カテゴリ 病害虫 あぶらな 管理技術 キャベツ 農薬 病害虫防除 品種 防除 薬剤 輪作 輪作体系

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