タイトル | 細断型ロールベーラによる飼料用トウモロコシの省力的収穫調製技術 |
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担当機関 | 岩手農研セ |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
増田隆晴 平久保友美 川畑茂樹 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 細断型ロールベーラによる飼料用トウモロコシ収穫調製作業は2名で行えることから、従来体系と比較して延労働時間を半分以下に軽減できる。また、生産されたベールは高密度で発酵品質に優れ、変敗によるロスも少なく高品質で維持される(V-score=90点以上)。 |
キーワード | 細断型ロールベーラ、省力化、発酵品質 |
背景・ねらい | 飼料用トウモロコシは単収、栄養価に優れる反面、収穫調製作業時の労力負担が大きいこと等から作付面積は漸減傾向にある。こうした中、現在、農業・生物系特定産業技術研究機構で開発が進められている細断型ロールベーラは、飼料用トウモロコシを効率的なラップサイレージ体系により調製するものであり、省力的収穫作業体系として期待されている。本報告ではこれまでに明らかとされた本機の基本性能、省力性ならびに生産物の品質について紹介する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 細断型ロールベーラの基本性能 ア. ロールベールの形状は、直径80cm、幅88cm、容積が0.45m3程度と中型ロールベール並のサイズであるが、重量は316.8kgと非常に重い。また、同様の梱包サイズのベール(無細断)と比較して湿潤密度、乾物密度ともに高く非常に高密度である(表1,2)。 イ. ベール放出時に発生するロス(梱包ロス)が1.8%、密封作業時に発生するロス(ラップロス)が0.3%、ロス率合計で2.1%程度である(表3)。 ウ. 細断型ロールベーラの作業能率は85馬力のトラクタ、2条刈ハーベスタ使用時のワンマン体系で21.4a/hである。一方自載式専用ラッパは密封の都度ベールを圃場脇に搬出する必要があったため移動時間を要し、作業能率は15.1a/hとベーラ能率より低い(表4)。 2. 細断型ロールベーラの省力性(従来体系との比較) ア. 従来体系(タワーサイロ)では6~7名の組作業を要するのに対し、細断型ロールベーラ体系では2名での収穫作業が可能であり、延労働時間は従来体系の半分以下(43%)に軽減される(図1)。 3. 夏期給与時の給与・変敗ロス及び発酵品質(タワーサイロ(FRP製サイロ27m3)との比較) ア. タワーサイロでは、サイレージ取り出し時の取りこぼしにより若干(全重比0.7%)のロスが発生するが、細断型ベールでは密封された状態で給与位置までの移動が行えることから給与ロスは発生しない(表5)。 イ. 給与期間中タワーサイロではカビ・変敗によるロスが発生(全重比14.0%)したが、細断型ベールではフィルムのピンホール部のカビの発生が一部認められただけで、廃棄量は極微量(0.2%)である。(表5)。 ウ. タワーサイロでは開封後の気密性が保てないことから好気的変敗によりVBN/TN比が高まり、発酵品質が可~不良となったが、細断型ベールでは変敗が認められず夏期給与期間を通じて良好な発酵品質(V-score = 94.4±1.30(良))を示した(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ワンマン作業(1台のトラクタ(1名)で細断型ベーラ+ハーベスタを稼動)の場合、1条刈ハーベスタでは60馬力、2条刈では80馬力以上の能力を有するトラクタが必要である。 2. ワンマン体系の他にも、伴走、定置作業が可能である。ワンマン体系の場合はハーベスタ駆動PTOの他に細断型ロールベーラを駆動するPTOの取り出しが必要である。 3. ベールの密封にあっては、フィルムを3回6層巻きとすること。また、開封後は2次発酵による変敗前に全量を給与しきること。 4. ロールベールサイレージの保管にあっては2段重ねまでとし、隙間を空けずに丁寧に並べる。また、フィルムに傷をつけないように細心の注意を払うこと。 |
カテゴリ | 省力化 飼料用作物 とうもろこし |