タイトル |
リンゴ搾りかすを用いた土壌還元消毒は良好な還元状態が長期間持続する |
担当機関 |
水田利用部 |
研究期間 |
1989~2003 |
研究担当者 |
岩間俊太
今井照規
坂本伸子
松川佳澄
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発行年度 |
2004 |
要約 |
土壌還元消毒において、フスマや米糠の代わりにリンゴ搾りかすを生重で500kg/a投入することで、酸化還元電位の低い状態が3週間程度持続し、土壌中のフザリウム属菌の菌密度を低減させることができる。トマト萎凋病の例では被害も軽減される。
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キーワード |
土壌還元消毒、リンゴ搾りかす、生重500kg/a、トマト萎凋病
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背景・ねらい |
リンゴジュース製造の際に大量に生じるリンゴ搾りかすは、堆肥・土壌改良材、飼料及び食品素材として約9割が利用されているが、廃棄処分される量も多く、バイオマス資源としての新たな利用法が産・学・官の各方面で模索されている。 そこで、近年北海道で開発された土壌還元消毒において、一般に使用されるフスマや米糠の代わりに、リンゴ搾りかすが利用可能かどうかを検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 土壌還元消毒において、リンゴ搾りかす(搾汁直後や発酵途中のもの)を生重で500kg/a(乾物重換算で100kg/a)投入することで、土壌中のフザリウム属菌の菌密度を低減させることができる(表1、表3)。なお、生重で100kg/a(乾物重換算で20kg/a)では投入量が不十分で、菌密度低減効果はみられない(2002年に試験実施、データ省略)。
- リンゴ搾りかすを用いた場合の酸化還元電位の低い状態は3週間程度持続し(表1、表3)、米糠を用いた場合よりも1週間程度長い(表1)。
- トマト萎凋病を例とすると、リンゴ搾りかすを用いた土壌還元消毒によって、本病の被害が軽減される(表1、表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 土壌還元消毒を実施する上での手順、処理が可能な時期、処理日数、施肥量の調整等の留意点は、既存の報告(新村2003、竹内2003、その他)に準じる。なお、処理終了後は、はじめの混和深まで丁寧に耕起し、ドブ臭が弱くなるまで1週間程度ハウスを開放放置し、土壌を酸化状態に戻してから作付けする。
- リンゴの搾汁期間は通常年には3月末で終了するので、リンゴ搾りかすが必要な場合は早めに業者に連絡し、調整を図る。大手業者では専用の遮光密閉袋に入れて野外で保管しているが、独自に保管する場合でも必ず遮光密閉して保管する。なお、小分けして冷凍保存も可能である。
- 業者から無償でリンゴ搾りかすの提供を受ける場合は、利用者自身が運搬しないと産業廃棄物扱いとなり土壌施用できなくなるので注意する。
- リンゴ搾りかすは臭いが問題になる場合があるので、住宅地に隣接するハウスでの施用には注意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
施肥
土壌改良
トマト
りんご
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