タイトル |
水稲湛水直播栽培による家畜糞由来堆肥、牛尿を利用した飼料イネの生産 |
担当機関 |
農芸化学部 |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
鈴木幸雄
中村孝志
伊藤博樹
齋藤隆
渡辺和弘(福島農試)
矢内清恭(畜産試験場)
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発行年度 |
2004 |
要約 |
水稲湛水直播栽培による飼料イネの生産では、家畜糞由来堆肥(牛糞と豚糞の混合)や牛尿を利用することで慣行栽培法と同等の収量が得られる。家畜糞由来堆肥の施用量は、含有全窒素量2kg/a(現物300~360kg/aに相当)で化学肥料の基肥窒素0.4~0.6kg/aに相当する。また、牛尿は、含有窒素量にて化学肥料の基肥窒素を代替できる。
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キーワード |
湛水直播栽培、飼料イネ、家畜糞由来堆肥、牛尿
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背景・ねらい |
水田の機能を維持しつつ畜産の飼料確保に結びつく飼料イネ生産に関心が高まっている。さらに、環境保全のため畜産から供給される有機質(家畜糞由来堆肥、尿)を活用した資源循環型の飼料生産が求められる。そこで、化学肥料を削減して直播栽培により省力的に飼料イネを生産するため家畜糞由来堆肥や牛尿の施用量を確定する。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲湛水直播栽培において、家畜糞由来堆肥(牛糞と豚糞を混合)を含有全窒素量で2kg/a(現物300~360kg/a)耕起前に施用し、化学肥料による追肥を施用することにより全量化学肥料と同等の飼料イネ収量が得られ、粗タンパク含有率も高まる。このときの家畜糞由来堆肥による代替量は化学肥料の基肥窒素0.4~0.6kg/aに相当する(図1)。
- 水稲湛水直播栽培において、牛尿を含有全窒素量で0.2~0.8kg/a耕起前に施用して相当量の基肥化学肥料を削減し、化学肥料による追肥を施用することにより全量化学肥料とほぼ同等の飼料イネ収量が得られる。(図1)。
- 家畜糞由来堆肥や牛尿の施用により、苗立ち率が劣ることがあるが、上記の施用量では実用上問題のない範囲である(図2)。
- 家畜糞由来堆肥の連用3年目では跡地土壌中の全炭素含量、可給態窒素含量が増加する。(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 家畜の家畜糞由来堆肥や牛尿を有効利用し粗飼料を生産・供給する、資源循環型の体制が確立できる。
- 本成果は、耐倒伏性、直播適性に優れた「ふくひびき」の湛水土中条播栽培により得られたものである。また、2004年で家畜糞由来堆肥、牛尿の連用3年目である。
- 本試験で施用した家畜糞由来堆肥は、4カ月程度堆積切り返しを行ったもので、牛糞と豚糞の推定乾物混合割合は2:1程度のものである。牛尿はバッキ処理し臭いを軽減したものである。
- 家畜糞由来堆肥及び牛尿の施用量は、施用前に分析を行い決定する。堆肥、牛尿の散布後は速やかに耕うんして土壌混合する。家畜糞由来堆肥施用の場合、地力に応じて化学肥料により基肥窒素量を補完する。
- 家畜糞由来堆肥を連用すると土壌中の可給態窒素が増加するので、施用量または基肥の化学肥料の窒素量を少なくする。また、グライ土壌など還元が強まり苗立ち低下が予想される土壌では堆肥や牛尿施用による栽培は行わない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
直播栽培
水田
水稲
豚
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