タイトル |
夏秋どりイチゴの販売ターゲットとなる洋菓子店の特徴 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
澁谷美紀
|
発行年度 |
2004 |
要約 |
製造従業員数や店舗数が多く、客層に遠来のグルメ客を含み、イチゴショート価格が高い「広域高価格型」の洋菓子店は、夏秋期の国産イチゴ使用率や国産への関心が高く、イチゴ価格の重視度が低いため、夏秋どりイチゴの有望な販売ターゲットとなる。
|
キーワード |
夏秋どりイチゴ、販売ターゲット、広域高価格型、地場低価格型、国産
|
背景・ねらい |
今日、夏秋期の製菓用イチゴの大半は輸入物であるが、国産イチゴの方が安全性が高くおいしいという消費者イメージが強く、洋菓子店でも国産が支持されている。こうしたなか、東北地域の気候を生かした夏秋どりイチゴは、輸入イチゴに替わる物として期待されている。しかし、現時点では大量生産は難しく高価格にならざるを得ない。したがって、この点を考慮し「国産のイチゴ」という特徴に対応した販売戦略を立てるため、東京都の洋菓子店に対するアンケート調査結果に基づき、販売ターゲットとその特徴を解明する。
|
成果の内容・特徴 |
- 「製造従業員数」「店舗数」「イチゴショートの価格」「グルメ客の有無」の4指標を用い、クラスター分析を行った。洋菓子店は、従業員や店舗が多く、客層に遠来のグルメ客を含み、イチゴショート価格が高い「広域高価格型」と、従業員や店舗が少なく地元客を対象とし、イチゴショート価格が低い「地場低価格型」に分類できる(表1)。
- 両類型の相違点は以下の4点である。第1に、「広域高価格型」は「地場低価格型」に比べ、夏秋期の国産イチゴの購入店や、高価格でも「安全・安心な果物」「おいしい果物」を購入したいとする店の率が高い(表2)。第2に、イチゴに求められる6条件(「味」「鮮度」「色づき」「価格」「形」「大きさ」)の重視度をみると、「広域高価格型」では「地場低価格型」と異なり「価格」の重視度が比較的低い(表3)。洋菓子業界では、国産イチゴは安全性が高くおいしいというイメージが強いことと、現時点で夏秋どりイチゴの安値供給は難しいことを踏まえると、これらは夏秋どりイチゴの有望な販売ターゲットとなる。また、夏秋期のイチゴ仕入量が1日1店当たり4,200グラムで「地場低価格型」の約2.5倍となっており、大きな需要が見込める。
- 相違点の第3は、「広域高価格型」は「地場低価格型」に比べ、イチゴの仕入先を「変えることがある」とする率が高いことである。第4はラズベリーや赤スグリなど生イチゴの代替品として夏秋期に使う、赤い色の食材の種類数が多いことである(表4)。つまり、「広域高価格型」の店はイチゴの仕入先や代替食材の開拓に積極的である。
- 以上より、「広域高価格型」は夏秋どりイチゴの有望な販売ターゲットと判断できるが、これらの店は単に国産志向が強いだけでなく、高品質な果物への関心が高く仕入先の開拓にも積極的であることから、東北地域以外で生産された国産イチゴとの差別化が課題となる。同様に、他の食材との競合にも留意すべきである。
|
成果の活用面・留意点 |
- アンケート調査は東京都の全洋菓子店971店を対象にした(郵送方式、2004年8、9月実施)。有効回答数214。なお、チェーン店では店舗・商品等の情報が複数の部署で分割保有されることが多く、アンケートでは必要な情報を得ることが困難である。そのためチェーン店は調査対象から除いた。また、イチゴの洋菓子を販売していない店も除いた。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
いちご
すぐり
ラズベリー
|