タイトル | ミニトマトの根域制限栽培による有機質肥料調製法の影響判定 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2000~2004 |
研究担当者 |
宮沢佳恵 村山 徹 渡邊和洋 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 根域を制限してミニトマトを栽培することにより、有機質肥料調製法の影響を判定できる。有機質肥料の連用、特に有機質肥料を好気発酵させて施用した場合には、化学肥料施用の場合と比較して、収量が高まる。肥料調製時の微生物資材添加効果は認められない。 |
キーワード | ミニトマト、有機質肥料、微生物資材、根域制限栽培 |
背景・ねらい | 安全・安心志向や環境保全型農業推進を背景に、野菜栽培においても多様な「有機栽培」の取り組みがみられる。その場合に用いられる有機質肥料の調製法は多様であり、時に多様な効用が謳われている市販の微生物資材を添加する例もある。また、有機栽培によって生産された野菜には、栄養成分がより多く含まれているという考えも根強い。しかし、圃場試験では、有機質の施用効果の発現には長期間を要するとされ、調査は困難である。そこで、微生物資材を用いて発酵させた有機質肥料(ぼかし肥料)の施用がミニトマトの収量、品質に与える影響を短期間に解明できる方法を明らかにし、効果が認められる場合には、その要因を解明する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 土壌(腐植質黒ボク土)60L入りのプランターで表1に示したようにミニトマトを栽培すると、圃場試験では判定しにくい有機質肥料調製法の要因解析が可能である。トマトの収量向上には好気発酵させた有機質肥料の施用で効果的で、化学肥料よりも有機質肥料を施用した場合に収量の高い傾向になる。また、有機質肥料調製時の微生物資材添加の効果はみられない(表2)。 2. ミニトマトの品質は、速効性の化学肥料を連用すると向上する。水分含量が低いため、糖度、滴定酸度およびグルタミン酸含量が有意に高まる。潅水施肥でも同様な傾向であるが、緩効性化学肥料の場合は有機質肥料に近い結果となる。有機質肥料の調製法による差はない(表2)。 3. 表3に示すように化学肥料施用により土壌のECは上昇、pHは低下しており、土壌の透水性も有機質肥料施用の方が高い。また、土壌表面の硬度をみると、化学肥料の方が表層で硬い(図1)。これらのことから、有機質肥料連用による増収傾向は、土壌の化学性、物理性の悪化抑制による。 |
成果の活用面・留意点 | 1. これらの結果は限られた条件下で行われたもので、特定の資材の効果を評価するものではない。 2. 有機質肥料は米糠、菜種粕、魚粕、鶏糞、草木灰を混合した後、好気・嫌気の発酵環境及び微生物資材添加の有無を組み合わせて調製した。すなわち、好気発酵の場合には有機質肥料に水を加えて攪拌し、発酵してきたら50℃を目安に切り返し、発酵が収まるまで繰り返した。好気資材区では攪拌前に資材Aを加え、同様に発酵させた。嫌気発酵の場合には、加水した後、容器に密封して1カ月間静置した。嫌気資材区では資材Bを加えて同様に発酵させた。 3. 資材Aは、好気性発酵微生物群で有機質肥料等と混合して好気発酵させることにより、農作物の発育、品質、収量の増大および有用土壌微生物の増殖による地力の増進を図れるとされる資材である。資材Bは、好気性と嫌気性の微生物(主な微生物は乳酸菌群、酵母群、光合成細菌群、発酵系の糸状菌群、グラム陽性の放線菌群)を複合培養したもので、これらが土壌中で連動しあい相乗効果を発揮するとされる資材である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 有機栽培 土づくり 肥料 収量向上 施肥 トマト 鶏 ミニトマト 野菜栽培 |