タイトル |
キクの点滴かん水施肥栽培における簡易土壌栄養診断指標 |
担当機関 |
園芸環境部 |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
吉村正久
上山啓一
佐々木あかり
上山雅美
鈴木誠一
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発行年度 |
2004 |
要約 |
キクの点滴かん水施肥栽培において、生土容積法による土壌中の硝酸イオン濃度を50~100ppmを目安に施肥管理することで、窒素利用率が高まり、作付け後の養分の残存が少なく、良質な切り花が得られる。
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キーワード |
キク、点滴かん水施肥栽培、簡易栄養診断、生土容積法
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背景・ねらい |
近年、キクの産地において主に省力化を目的に点滴かん水施肥栽培の普及が進んでいるが、養水分管理の指標が明確でないため、過剰施肥や品質の低下が問題となっている。そこで、土壌の窒素栄養状態を短時間で判断できる簡易土壌栄養診断指標を作成する。
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成果の内容・特徴 |
- 窒素施肥量を変えた区(表1)を設定し、生土容積法による硝酸イオン濃度の分析を行った結果、輪ギクでは多施肥は全期間100~300ppm程度、中施肥ではほぼ50~100ppm程度、少施肥では50ppm以下の範囲で推移した(図1)。スプレーギクでは多施肥は200~500ppm程度、中施肥ではほぼ50~100ppm程度、少施肥では50ppm以下の範囲で推移した(図2)。
- 切り花の品質は多施肥区と中施肥区で同等であるが、中施肥区で窒素利用率が高く、残存窒素量も少なかったことから、輪ギク、スプレーギクともに生土容積法による硝酸イオン濃度は50~100ppm程度を目安に管理すると良い(表1)。
- 生土容積法による硝酸イオン濃度の分析値は、乾土重量抽出法による硝酸態窒素濃度と高い相関があり、生土容積法は精度の高い分析法である(図3)。
- 生土容積法と点滴抽出法により得られたデータには高い相関があり、互いに換算ができる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 生土容積法はポリビンに100mLの蒸留水を入れ、0~15cm深で採取した生土を150mLの標線まで加え、1分間の振とうを2回行った後、ろ過し、硝酸イオン濃度をRQフレックス法により分析する。生土の採取位置は点滴チューブと株の中間の位置とする。
- 分析は2週間に1回程度行うと良い。
- 生土容積法と併せて良好な生育の確認として、磨砕法により中位葉の簡易分析を行うと良く、その場合の硝酸イオン濃度は4000~6000ppm程度を目安とする。
- この診断指標は品種、作型が違っても適用可能である。
- 生土容積法と点滴抽出法の相関は褐色森林土壌でのデータである。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
栄養診断
きく
省力化
施肥
品種
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