タイトル |
マルチプレックスPCR法による日本短角種の個体識別方法 |
担当機関 |
岩手農研セ |
研究期間 |
2001~2006 |
研究担当者 |
安田潤平
吉川恵郷
佐藤洋一
小松繁樹
福成和博
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発行年度 |
2005 |
要約 |
日本短角種の個体識別に適したマーカーセットを構築し、多頭数の個体識別を省力、低コストに実施できるマルチプレックスPCR法を確立した。
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キーワード |
肉用牛・個体識別・PCR
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背景・ねらい |
BSEの発生、食品の偽装表示等、「食」と「農」に関する様々な問題が顕在化し、社会的に大きな問題となっており、科学的根拠に基づいた認証システムの実証が求められている。そこで、従来の黒毛和種の個体識別法を応用し、DNAマーカーによる個体識別、DNAマーカー情報に基づいた血統管理及び改良を行うため、日本短角種に適した個体識別DNAマーカーセットを構築し、多頭数の個体識別を低コストに実施できる手法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 互いに血縁の遠い個体より構成される日本短角種種雄牛16頭のゲノムDNAを用い、USDA(米国農務省)によって公開されているマイクロサテライトマーカーのうち多型に富む504マーカーのアリル数、出現頻度、ヘテロ接合率から個体識別可能頭数を算出した。個体識別可能頭数とPCRサイズ範囲を考慮し、1セット6マーカーのマーカーセットを2セット構築した(表1)。
- 各セット毎のマルチプレックスPCRにおいて、PCRプログラムの初期熱変性、アニーリング、伸長反応の時間を十分にとることで、良好な増幅が確認できる。(表2)。この結果、消耗品コスト、作業労力が大幅に減少した(表3)。
- このマーカーセットの総合排除率は99.98%以上であり、理論的には1200万頭の個体識別と8300頭の種雄牛の判別が可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 小頭数の個体識別の場合はマルチプレックスPCRでは時間が長くかかるため、概ね30頭以上の多頭数の個体識別に適している。
- 黒毛和種の個体識別マーカーセットは、(社)畜産技術協会附属動物遺伝研究所が黒毛和種の多型情報に基づいて開発したものであり、日本短角種ではPCR増幅の不良やPCR産物のサイズ範囲が重なるため電気泳動効率が悪いなどの不具合が認められるが、今回構築したマーカーセットは日本短角種において効果的に個体識別が可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
コスト
DNAマーカー
低コスト
肉牛
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