タイトル |
豚へのそばくず給与により飼料費の低減が可能でその肉質も良好である |
担当機関 |
岩手農研セ |
研究期間 |
2004~2007 |
研究担当者 |
阿閉博明
小松繁樹
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発行年度 |
2005 |
要約 |
肥育豚に給与する飼料の25%または50%をそばくずで代替すると、肉質に影響を及ぼすことなく飼料費を低減することが可能である。
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キーワード |
ソバ、ブタ、低コスト、食品リサイクル
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背景・ねらい |
食品リサイクルの推進と豚肉の生産コストの多くを占める飼料費の低減、また、地域資源を活用した特色ある豚肉の開発をめざして、従来は産業廃棄物として処理されていた「そばくず(乾麺くず)」を市販飼料に混合、給与し、肉質等に及ぼす影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- そばくず給与により1日平均増体重(DG)がやや低下する傾向があるが、飼料要求率は変わらない(表1)。
- そばくず給与により肩脂肪および背脂肪がやや厚くなる傾向があるが、枝肉格付等級は変わらず、脂肪交雑の指標であるMSが高く、ロース中の脂肪含量も高くなる。また、そばくず給与により皮下脂肪中の主要飽和脂肪酸の割合および脂肪の融点が高く、軟脂等はみられず脂肪の質は良好である(表2)。
- 官能検査では、対照豚とそばくず50%混合給与豚を比較し、香り、味の濃さ、軟らかさ、ジューシーさの各項目について評価すると、そばくず50%混合給与豚の方が軟らかいと判断される傾向がある(図1)。
- 肥育に必要な1頭当たりの飼料費は、飼料の25%または50%をそばくずで代替した場合、それぞれ21.2%(約1,700円)、37.5%(約3,000円)低減することが可能と試算される(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 試験に用いた豚は、肥育後期(体重60~110kg)のLWDの去勢22頭で、対照区(配合飼料100%給与)、試験区I(配合飼料の25%をそばくずに置き換え)、試験区II(配合飼料の50%をそばくずに置き換え)を設定し試験を行っている。また、試験に用いた配合飼料はマッシュ状のもので、表示成分はCP12.0%以上、TDN77.5%以上である。
- 飼料費の試算では、そばくずの単価は経費として運搬用トラックの燃料費と運搬に係る賃金のみを勘案し11円/kgとし、配合飼料(肥育後期用)の単価は46円/kgとして算出している。
- 試験に用いたそばくずは、そば粉配合割合約40%の乾麺くずである。また、そばくず100g中には、食塩相当量で1.65g含まれており、今回の試験では1日当たりそばくず25%混合給与豚で14g、50%混合給与豚で27g摂取したことになるが、食塩中毒の症状は全く見られていない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
コスト
そば
低コスト
豚
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