中山間農業地域における不在地主が所有する農地管理の現状と意向

タイトル 中山間農業地域における不在地主が所有する農地管理の現状と意向
担当機関 宮城農園研
研究期間 2002~2004
研究担当者 横田悦子
小池修
泉澤弘子
大泉眞由美
長田幸浩
発行年度 2005
要約 不在地主は居住地までの距離や不在化年数のような所有農地のある自治体との地縁の深さによって、農地の管理状況や今後の意向に違いが見られる。所有農地から遠くに居住し、不在化期間が長い不在地主の農地は耕作放棄地化する可能性が高い。
キーワード 不在地主、中山間農業地域、耕作放棄地
背景・ねらい 担い手への農地集積や耕作放棄地対策として、各市町村の不在地主が所有する農地に対する意向を把握することが必要である。しかし、センサス等の統計調査においては、不在地主という形での統計はとられておらず、実態は不明なところが多い。そこで、宮城県内中山間農業地域A町を対象とし、アンケート調査により不在地主が所有する農地管理の現状と今後の意向を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 回答した不在地主の所有農地の利用状況は、作付けを行っている回答者(実施者は、自分もしくは貸し出し)が73%である。また、所有農地の管理作業は83%の回答者(実施者は、自分もしくは委託)が行っている(図1)。
  2. 回答した不在地主の居住地からA町の中心部までの距離が遠くなるに従って、所有農地の管理作業の実施者が「自分」から「委託」、あるいは「行っていない」になる傾向がみられる(表1)。
  3. 農地の管理作業を自分で行っている不在地主は、今後の農地管理について「土地所有者が個人」で行うべきとの積極的な回答が多い。管理作業を他者へ委託しているもしくは、管理作業を行っていない不在地主は、「町や町内の生産者等」が行うべきとの考えや、「農地が荒れても仕方がない」という回答が多く、現在の管理作業の実施者の違いにより、今後の農地管理の意向に違いがある(表2)。
  4. 不在化年数が長くなる(「A町での居住経験がない」も含む)につれて、今後の農地管理の担い手は「土地所有者個人」→「町や町内の生産者等」→「荒れても仕方ない」と答える傾向が認められ、不在化年数が長いと他者依存型の農地管理や耕作放棄地化が容認されていく(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 宮城県内A町の人口は約2千人である。農業経営類型は酪農と水稲作が主体であり、農家戸数は291戸、経営耕地面積629haうち水田が約4割を占める。また、A町の水田面積の約9割は直接払い制度の対象であり、この制度を活用した管理作業を行っている。
  2. アンケート調査は、全不在地主65名への郵送により、平成17年1月に実施した(回収率44.6%:29名)。不在地主数の把握は、同町農業委員会より提供された資料による。不在地主(65名)は、A町から30km圏内に居住している比率が70%以上で、平均所有面積は約90aである。
  3. アンケート調査に回答した不在地主の平均年齢は61歳である。農家割合は約1割、全員親からの相続で、以前この町に居住した経験のある人が約9割である。
図表1 232382-1.gif
図表2 232382-2.gif
図表3 232382-3.gif
図表4 232382-4.gif
カテゴリ 経営管理 水田 中山間地域 乳牛

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