タイトル |
アワ栽培における早期培土を基本とした機械除草体系 |
担当機関 |
岩手農研セ |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
高橋昭喜
高橋修
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発行年度 |
2006 |
要約 |
アワ栽培において、播種後20~25日後の早期培土と通常培土を行うことにより、完全に手取り除草を行った場合の約80%の収量を確保することができる。
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キーワード |
アワ、早期培土、機械除草
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背景・ねらい |
畑地帯を中心としたアワ、キビなどの雑穀栽培においては、手作業中心の零細規模の農家はもとより管理機などの機械作業を導入している農家でも補完的に手取り除草を行っている。雑草害による収量低下を避けるため除草作業は必須であり、担い手の高齢化、除草にかかる経費増などが面積拡大のネックになっている。このため除草作業の省力化・軽労化は規模に関わらず重要であり、歩行管理機を用いた除草体系と乗用型管理機を用いた除草体系について、特に生育初期の株間雑草の密度低減技術について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 除草体系
- 歩行体系は歩行型管理機、乗用体系は乗用管理機で雑草管理を行う。
- 早期培土作業には耕耘爪が外側にいくほど短くなるように配列されている特殊ロータリカルチベータを用いるが、その他の培土作業は通常のロータリカルチベータに培土板を装着した一般的な培土作業とする。歩行体系、乗用体系とも同タイプのユニットを利用する。
- 播種後20~25日後に下葉を1~2枚隠す程度の早期培土を行い、その1週間後に仕上げ培土を実施する。仕上げが不十分な場合は7月第1半旬までに再度実施する(以上、図1)。
- 除草精度
培土直前の株間の雑草発生本数が350~450本/平方メートル(1畦1m間の株間(15cm幅)に約50~70本換算)で除草体系を実施すると、最終的に歩行体系、乗用体系ともに90%程度の抑草(本数)率となる(表1)。 - 収量性
収量については、完全手取り除草区と比較すると、穂長がやや短くなり、歩行、乗用体系とも20%程度の収量低下となる(表2)。 - 作業能率と経済性試算
10a当たりの作業時間は、歩行体系で4.5時間(1.5×3回)、乗用体系で1.5時間(0.5×3回)となり、いずれも慣行手作業の90%以上省力できる。 また、体系導入による余剰労賃で減収補填ならびに機械の減価償却をするための下限面積を試算すると歩行体系で20a、乗用体系で185aとなる。また、作業可能面積(負担面積)は歩行体系で179a、乗用体系で538aである(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 雑草の出芽や再生を少しでも遅らせるため、播種前の整地は播種直前もしくは同時に行うことが望ましい。また、表層の砕土率を高めるためアップカットロータリ耕の効果が高い。
- 早期培土に利用するM社製特殊爪は数社・数タイプの歩行型管理機に装着できるユニットがすでに市販されている。
- 本体系では、イネ科の抑草率が低い傾向にあるため、生育初期からイネ科(雑穀のこぼれ種含む)の雑草発生量が多いところでは効果が劣ると思われる。
- 播種時の条間の合わせ目の誤差が大きいと除草精度が低下するので注意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
あわ
きび
軽労化
雑草
省力化
除草
播種
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