タイトル |
産業用無人ヘリコプターを利用したリンゴ園の融雪材散布 |
担当機関 |
秋田農技セ果試 |
研究期間 |
2005~2005 |
研究担当者 |
森田 泉
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発行年度 |
2006 |
要約 |
産業用無人ヘリコプター(以下無人ヘリ)を利用し、粒径1~2mmの乾燥した粉炭を散布することにより消雪が5日~10日早まる。10a当たりの散布時間は約4分で、資材の使用量は手散布の約25%と大幅に削減でき、経費も約3,000円である。
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キーワード |
産業用無人ヘリコプター、リンゴ、わい化栽培、省力化、融雪
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背景・ねらい |
秋田県は、多積雪地帯で積雪が1.2~1.5mを越え、果樹園の雪害防止対策が必須となっている。しかし、担い手の高齢化により適期作業が行えず、樹体の損傷による生産性の低下が問題となっている。このため無人ヘリの遊休期間の有効活用として、リンゴ園での融雪材散布による消雪促進、軽労化、経済性等について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 無人ヘリ(RMAXTypeⅡGヤマハ発動機社製)に附属した粒剤散布機材に適応する融雪資材は、粒径が0.5~2mmで乾燥した粉炭である(表2)。
- 融雪材の落下分散は風速3m/秒以下であれば極めて均一で、10a当たり40リットル(手作業使用量の約25%)で十分な融雪効果を得る(表1、表2、図1)。
- 散布時間は使用する融雪資材によって異なり、最も短い時間で作業を進めるには、粒径が1~2mmで湿度の少ない資材が適している(表2)。手散布では、積雪が60cm以上で新雪の場合は10aに30分程度必要とする(表2)。
- リンゴ園の樹形が異なっても作業性と作業精度(落下分散)に影響はみられない(表1、表3)。
- 消雪促進効果は融雪材の散布回数と関係があり、2月中旬以降に3回散布したリンゴ園では無散布より調査地点によって消雪日が5日~10日早くなる(表1、図1)。
- 無人ヘリの利用料は水田での作業時間を基準とした場合、約1.5倍の2,250円、資材費は約1,000円となり、10a当たり1回分は3,250円と試算される。
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成果の活用面・留意点 |
- 消雪が促進され、わい性台樹下枝の生態遅延解消や休眠期防除等の春作業がスムーズに行える。
- 融雪材の素材によって散布時間や落下分散が大きく異なるので、実際の使用に当たっては少量散布試験を行い適応性を確認してから行う。
- 散布日の天候は晴天が望ましいが、散布直後に降雪があっても、融雪効果は認められる。
- 無人ヘリの離発着には半径2m以上の場所を確保し、オペレーターと合図マンが相互に無人ヘリの安全性を確認できる条件での園地の利用に限られる。
- 急傾斜リンゴ園は降雪期間中の試験実績がないことから、実際の使用については小規模の散布試験で適応性を確認してから行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
軽労化
省力化
水田
春作
防除
りんご
わい化
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