タイトル |
DNAマーカーによるリンゴ黒星病抵抗性遺伝子(Vf)をホモに持つ個体の作出 |
担当機関 |
園芸畑作部 |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
竹澤利和
臼井紀子
奥平麻里子
佐々木力
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発行年度 |
2006 |
要約 |
既報のDNAマーカーにより選抜したリンゴ黒星病抵抗性遺伝子(Vf)をホモに持つ個体は、黒星病抵抗性リンゴの育種効率を格段に高めることができる。
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キーワード |
リンゴ黒星病、Vf遺伝子、ホモ個体
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背景・ねらい |
黒星病はリンゴの重要病害の一つであるが、国内の主要品種で抵抗性を持つものはほとんどなく、防除の徹底が必要である。一方、黒星病抵抗性遺伝子(Vf)は、海外品種のプリシラやプリマなどに存在することが知られており、Vfに連鎖するDNAマーカーも作出されている。 本研究では、既報のDNAマーカーにより、プリシラ、プリマを交配親に持つF1集団からVf遺伝子を持つ個体を選抜し、さらに、Vf遺伝子を持つ親同士を交配してVfホモ個体を作出することによって、黒星病抵抗性リンゴの育種効率の向上に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 既報のDNAマーカー(ACS9)を用いることによって、プリシラ、プリマを交配親に持つF1集団から、リンゴ黒星病抵抗性遺伝子(Vf)を持つ個体を選抜できる(表1)。
- 「さんさ×プリシラ」の交配組合せでは、Vf遺伝子を持つ個体の割合が低く、分離の歪みが確認されるが、原因は不明である(表1)。
- 既報のDNAマーカー(M18)を用いることによって、Vf遺伝子を持つ親同士を交配したF1集団から、Vf遺伝子をホモに持つ個体を選抜できる(図1、表2)。
- Vf遺伝子が両親ともプリシラ由来の場合や、プリシラとプリマ由来の組合せの場合では、Vf遺伝子がホモであっても生育は健全であり、Vf遺伝子がホモに存在することによる致死性は認められない(表2)。
- Vfホモ個体の利用により、黒星病抵抗性リンゴの育種効率が格段に向上する。
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成果の活用面・留意点 |
- ACS9マーカーの出典:Xu M. et al., Genome 44: 63-70 (2001)
- M18マーカーの出典:Gianfranceschi L. et al., Theol Appl Genet 93: 199-204 (1996)
- Vf遺伝子型の判定に用いたM18マーカーは、Vf遺伝子との遺伝距離が0.4cMと推定されているため、Vf遺伝子の直近で組換えが起こる可能性は否定できない。このため、Vfホモと判定された個体を親として作出したF1個体であっても、ACS9などの密な連鎖マーカーによりVf遺伝子の有無を確認することが望ましい。
- Vf遺伝子を持つ親同士を交配したF1の不発芽個体等については、Vf遺伝子型の判定を行っていないことから、Vf遺伝子やその近傍の遺伝子がもたらす分離の歪みについては検討していない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育種
黒星病
DNAマーカー
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
りんご
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