オウトウ苗木に対するベンジルアミノプリン液剤の副梢発生効果

タイトル オウトウ苗木に対するベンジルアミノプリン液剤の副梢発生効果
担当機関 青森農林総研
研究期間 2001~2004
研究担当者 葛西智
久保隆
工藤秀樹
発行年度 2006
要約 ベンジルアミノプリン液剤(商品名:ビーエー液剤)の苗木に対する副梢発生効果には品種間差異があり、効果的な希釈倍数は「佐藤錦」等では25~50倍、「南陽」では25倍である。本剤処理により、その後の側枝数や花束状短果枝数をより多く確保できる。
キーワード オウトウ、苗木、副梢、側枝、ベンジルアミノプリン液剤
背景・ねらい オウトウの主幹形仕立てにおいて初期収量を多く得るためには、若い樹齢で側枝数をより多く確保する必要がある。同様のことはリンゴにおいても言え、側枝の発生を促進する方法としてベンジルアミノプリン液剤(以下、BA液剤とする)の使用がすでに実用化されている。そこで、BA液剤をオウトウ苗木に散布した場合の副梢発生効果を明らかにし、初期収量に影響する側枝や花束状短果枝の形成について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 主幹延長新梢30~40cm伸長時に、主幹延長新梢全体にBA液剤を散布した場合、副梢発生数は、「佐藤錦」では25倍処理及び50倍処理で多く、「紅秀峰」、「紅さやか」及び「Jのしずく」では50倍処理で多く、本剤の処理効果が認められる。「南陽」では 25倍処理で副梢数が多く、効果が認められるが、50倍処理では効果が低い(表1)。
  2. BA液剤処理によって発生した副梢数を、落葉後の主幹延長枝の高さ別に見ると、主幹延長新梢が30cm程度伸長した時期に処理した場合、「佐藤錦」及び「紅秀峰」では高さ21~50cmで多い(図1)。また、40cm程度の伸長期に処理した「紅さやか」では高さ31~60cmで多く、処理時の主幹延長新梢の先端付近で発生が多い傾向にある。
  3. 発生した副梢の中には、翌年に新梢が発生しないため側枝として利用できないものが見られる。翌年の新梢発生率は副梢長が長いほど高い傾向にある。80%以上の高い割合で新梢を発生させるためには、「佐藤錦」では副梢長が6cm以上必要である(表2)。
  4. 「佐藤錦」では、接ぎ木2~3年目にBA液剤を連年処理すると、副梢発生数が増加し、接ぎ木4年目(落葉時)の側枝数と花束状短果枝数が増加する(表3)。そのため、BA液剤処理により、より多くの初期収量が期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. 本剤は、オウトウ(苗木)の副梢発生促進のため、新梢伸長時(主幹延長枝が30~80cm伸長期)に25~50倍の1回処理(立木全面散布)という内容で農薬登録されている。
  2. この技術は主幹形仕立てにおいて、側枝数を確保して初期収量を多くするためのものである。樹齢の経過に伴い主幹形の維持が困難になった場合は、変則主幹形への移行を検討する。
  3. 側枝や花束状短果枝の形成については、「佐藤錦」以外の品種では検討していない。
  4. 本剤は生長の旺盛な新梢ほど効果が高い。主幹延長枝の伸長を促すために、散布前に主幹延長新梢と競合する新梢は剪去する。
  5. 新梢の基部等の薬液の乾きにくい葉で褐変を生じる場合があるが、その後の生育には影響ない。
図表1 232532-1.gif
図表2 232532-2.gif
図表3 232532-3.gif
図表4 232532-4.gif
カテゴリ 病害虫 おうとう 接ぎ木 農薬 品種 りんご

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