オウトウにおける平棚栽培の実用性

タイトル オウトウにおける平棚栽培の実用性
担当機関 福島農総セ
研究期間 1996~2006
研究担当者 志村浩雄
木幡栄子
高野靖洋
相原隆志
増子俊明
瀧田誠一郎
畠良七
永山宏一
発行年度 2006
要約 オウトウの平棚栽培は、初期収量が少ないが7~8年生になると慣行栽培と同等の収量が得られ、商品性も向上する。さらに、収穫作業の省力化が図られるとともに、低い雨除け施設の利用が可能であることから、実用性の高い栽培法である。
キーワード オウトウ、平棚栽培、省力、果実品質
背景・ねらい オウトウは、立木栽培が一般的であるが、高木化しやすい樹種であることから、収穫などの管理が高所作業となり、さらに、高い雨よけ施設を必要とすることから、作業条件の改善は大きな課題となっている。
そこで、オウトウ栽培の省力化を目的に平棚栽培の実用性について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 平棚栽培は、地上130cmで主幹を二分し、高さ180cmの棚に二本主枝で整枝する。側枝は主枝の両側に肋骨状に配置する。植栽距離は7×7m(20本/10a)とする(図1)。
  2. 平棚栽培は、慣行栽培に比較して樹冠の拡大は早いものの、主枝や側枝の形成に時間を要するため初期収量は少ない。しかし、7年生以降は収量が増加し、8年生になると慣行栽培と同等の収量となる(図2)。
  3. 果実の大きさや糖度に差は無いが、着色等外観の向上により、商品性(秀品率)が向上する(表1)。
  4. 平棚栽培は、作業時に脚立を必要としないことから作業効率が良く、収量1kg当たりの収穫時間は慣行栽培の84%である(データ略)。また、発育枝も含めた樹高が3m程度(表1)と低く維持されることから、低い雨除け施設の利用が可能であり、雨よけ被覆作業時の危険性が減少する。
  5. 平棚栽培における主枝の形状は、長さが4.6m、結果部長が3m、側枝本数が18本、側枝間隔(両側)が18cm程度である(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 省力的な栽培であるため、労働力の有効利用が図られ、担い手農家の規模拡大に活用できる。
  2. 脚立を使用しないで収穫できるので、観光果樹園などでは集客力が向上し、高いPR効果が期待できる。
  3. 樹形形成期には、樹冠の早期拡大につとめるとともに、不要な新梢の摘心や夏季せん定(5~7月頃に基部の葉5~6枚残して切り戻す)の活用により樹形の乱れを防ぐ必要がある。
  4. 結果部が低いため、遅霜の害を受けやすいので、防霜対策を徹底する。
  5. 本試験に供した樹は、アオバザクラ台「佐藤錦」、8年生樹である。
図表1 232539-1.gif
図表2 232539-2.gif
図表3 232539-3.gif
図表4 232539-4.gif
カテゴリ おうとう 規模拡大 省力化

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