タイトル |
野ねずみ、野うさぎ被害の簡易な事後対策技術 |
担当機関 |
山形最上総合支庁 |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
近野広行
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発行年度 |
2006 |
要約 |
冬季の野ねずみ、野うさぎによる地上部の食害の事後対策として、樹体の被害部の形成層を露出させた後、接ぎ木用の枝を縦半分にして形成層を平行線状に露出させ、その枝を張り合わせるようにして活着させることで樹体を保全できる。
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キーワード |
野ねずみ、野うさぎ、事後対策、接ぎ木
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背景・ねらい |
野ねずみや野うさぎのよる食害が枝幹部を一周するような場合には、橋接ぎが事後対策として行われるが、処理には高度な技術が必要であることや、木部が露出したままの状態になるために腐朽する場合があるなどの問題があった。 そこで、冬季に発生する野ねずみや野うさぎの枝幹部の食害に対して、被害樹の樹勢低下等の障害の軽減をはかり、樹体保全を容易にする新しい事後対策技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 冬季に、野ねずみや野うさぎによって地上部に食害を受けた場合は、樹体の被害部の形成層を露出させた後、縦半分にして形成層を平行線状に露出させた枝を張り合わせるようにして活着させる(図1)。その手順は以下のように行う。
- 被害部の木部及び樹皮を、歯形及び乾燥して壊死した部分を含めて、段差ができないように滑らかに削って形成層を露出させる。
- 接ぎ木用の枝を縦半分にして、形成層を平行線状に露出させる。
- 2.で縦半分にした接ぎ木用の枝の形成層と、1.で露出させた形成層が交わるようにあてがい、ステープラー等で固定する。
- 形成層が密着し、乾燥しないように接ぎ木テープで巻く。
- 事後対策を行わない場合は、被害当年の早期落葉が多く、翌年までに枯死することが多いが、本事後対策を行うと、被害当年の早期落葉は少なくなり、樹体はほぼ健全に生育する(表1)。
- 本事後対策は高度な技術を必要とせず、接ぎ木用の枝を被害部に敷き詰めるように活着させることにより、被害部を塞ぎながら樹体を保全することができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 接ぎ木用の枝は冷蔵貯蔵するなどして保管しておくと良い。
- 処理は、雪解け後の早い時期に行う。ただし、5月上旬に発芽後の穂木を採取して、直ちに事後対策を行って活着した事例があるので、被害の発見が遅れた場合でも事後対策を早期に実施する。
- 処理当年は着果負担を減らし、樹体の健全な育成に努める。
- 本成果は、オウトウを供試した試験結果に基づき作成しているが、リンゴやセイヨウナシ等で見られる、野うさぎによる枝幹部の食害への実施が可能で、セイヨウナシの野うさぎ被害に対する実用性を確認している。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
おうとう
乾燥
接ぎ木
りんご
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