リンゴ品種の果皮アントシアニン蓄積能力の比較

タイトル リンゴ品種の果皮アントシアニン蓄積能力の比較
担当機関 青森農林総研
研究期間 2004~2006
研究担当者 深澤(赤田)朝子
工藤剛
今智之
佐藤耕 
発行年度 2007
要約 リンゴ品種の果皮アントシアニン含量は、赤色の品種間で5倍程度の差が認められる。黄・緑色品種は、無袋栽培ではアントシアニンをほとんど蓄積しないが、有袋栽培するとアントシアニン含量が増加し、赤色品種の「国光」と同レベルに達する品種もある。
キーワード リンゴ、着色、アントシアニン、有袋栽培
背景・ねらい リンゴの果皮色は主にRf 遺伝子座によって支配され、赤色が黄色に対して優性である。しかし赤色品種の間にも着色の難易があり、栽培管理に多大な労力を要する「ふじ」に代表される難着色性の品種がある。一方、遺伝的には黄色品種でありながら「陸奥」は有袋栽培されてピンク色の品種として流通する。果皮の着色特性は商品価値に直接影響を与える重要形質であり、リンゴ育種上の基礎的情報を得るために、代表的な品種について袋かけの技術を利用して果皮のアントシアニン蓄積能力を比較する。
成果の内容・特徴
  1. リンゴの着色には光が必要で、三重袋で遮光した条件下ではRf 遺伝子型に関わらずアントシアニンを果皮に蓄積しない(図1:有袋果2、アントシアニンデータは省略)。
  2. 通常の無袋栽培条件で、赤色品種はアントシアニンを蓄積するが、その量は品種によって大きく異なり、難着色性の「国光」と着色が良い「マキ20」では5倍の差がある(図2)。緑・黄色品種にも陽向面が着色するものがあるが(図1:無袋果)、アントシアニン含量は赤色品種に比べて明らかに少ない(図2)。
  3. 赤色品種間のアントシアニン含量の差は、Rf 遺伝子型のホモ/ヘテロ(AA/Aa)とは相関がなく(図2)、着色の難易には他の遺伝子座が関与していることが示唆された。
  4. 有袋栽培(幼果期に被袋して収穫の1〜2ヶ月前に除袋して日光に当てる)を行うと、一般に緑・黄色品種も着色し、アントシアニンを蓄積する(図2)。
  5. 特に「グラニースミス」や「印度」は有袋栽培で顕著に着色し(図1:有袋果1)、アントシアニン含量は赤色品種の「国光」と同レベルに達する(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 有袋栽培における着色程度は、袋の種類、袋かけや除袋の時期、さらに除袋後の天候等によっても大きく左右されるため、アントシアニン蓄積能力の調査には、各品種の特性と環境(日照、気温など)を考慮する必要がある。
  2. 本試験結果は青森県藤崎町で慣行栽培した試験樹の3カ年の調査に基づくものであるが、リンゴ品種の着色は地域によっても大きく異なる。
図表1 232656-1.gif
図表2 232656-2.gif
カテゴリ 育種 栽培技術 栽培条件 品種 りんご

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