タイトル |
ウメ及びアンズの葉と果実に発生する赤褐色斑点は灰星病の一症状である |
担当機関 |
青森農林総研 |
研究期間 |
2007~2007 |
研究担当者 |
小笠原博幸
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発行年度 |
2007 |
要約 |
青森県において、ウメ及びアンズで落花10 日後頃から葉、果実に針頭大~ 1.5mmの赤褐色斑点が発生している。病斑部からの分離菌はMonilinia fructicola であり、接種試験により症状は再現される。したがって本症状は灰星病の一症状である。
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キーワード |
ウメ、アンズ、葉、果実、灰星病、赤褐色斑点
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背景・ねらい |
青森県では、ウメ及びアンズの葉に赤褐色の斑点が生じ、やがてせん孔する症状が見られている。また、果実においても赤褐色の斑点が生じ品質低下を招いており、発生要因の解明が求められている。そこで、その原因を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 病徴
葉では、落花10 日後頃から針頭大~ 1.5mm赤褐色斑点を生じる。斑点中央部に針頭大~ 0.5mm灰白色~黒褐色斑点を伴うことがある。病斑は、葉身の伸展に伴いせん孔する(図1)。 果実では、落花10 日後頃から針頭大~ 1.5mm赤褐色斑点を生じる。斑点中央部に針頭大~ 0.5mm灰白色~黒褐色斑点を伴うことがある。表面は平滑~やや凸状で、そうか状となるものもある(図1)。成熟期においても、病斑部からの腐敗はない。
- 病斑部からの分離菌の分生子の大きさ及び形態は、ウメ及びアンズ灰星病菌(Monilinia fructicola)と一致し、また、分離菌はPDA平面培地で25 ℃、暗黒下の培養により分生子を旺盛に形成する(表1)。
- 分離菌の分生子をウメ「豊後」、アンズ「新潟大実」の葉及び果実に噴霧接種した結果、いずれも赤褐色の斑点症状が再現される(表2,3)。接種によって生じた葉及び果実の病斑部からは接種菌と同一菌が再分離される。
- 以上の結果から、ウメ及びアンズの葉、果実に発生している赤褐色斑点症状は灰星病(病原菌:Monilinia fructicola)の一症状であることが明らかである。
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成果の活用面・留意点 |
- 本症状の原因が明らかとなったので、適切な診断と防除対策が可能となる。
- ウメ及びアンズのかいよう病やせん孔細菌病と類似するが、初期病斑が水浸状とならない、また、果実に亀裂や窪みを伴わないので区別できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
あんず
うめ
せん孔細菌病
防除
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