タイトル |
ウワミズザクラはクサギカメムシの寄主植物である |
担当機関 |
秋田農技セ果試 |
研究期間 |
2000~2004 |
研究担当者 |
舟山 健
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発行年度 |
2007 |
要約 |
ウワミズザクラ樹上で、クサギカメムシの卵から成虫まで各生育ステージが存在し、幼虫はウワミズザクラの果実を餌として成虫まで発育できる。
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キーワード |
クサギカメムシ、ウワミズザクラ、寄主植物
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背景・ねらい |
果樹の重要害虫であるクサギカメムシの増殖源となる植物を特定することは、本種の防除対策を確立する上で重要である。これまでにクサギカメムシの成虫と幼虫の存在が報告された植物は27 科51 種類以上に及ぶが、寄主植物を産卵と幼虫の正常な発育が認められると定義したとき、主要な生息場所である雑木林内で確認されている寄主植物はキリだけである。一方、秋田県内に広く分布するバラ科のウワミズザクラは5月上旬頃に開花し、成熟果実は7月中旬から9月中旬頃まで見られる。その樹上ではクサギカメムシの成虫と幼虫が多数観察されることから、ウワミズザクラは本種の寄主植物である可能性がある。そこで、ウワミズザクラ樹上における本種の生息状況とウワミズザクラ果実の餌としての有効性から、寄主植物であるかを解明する。
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成果の内容・特徴 |
- ウワミズザクラ樹上でクサギカメムシの越冬世代成虫は6月上旬から7月下旬に観察され(図1)、雌成虫のほとんどは成熟卵を保有しており、6月上旬から葉上に卵塊が見出される。
- 6月上旬以降、ウワミズザクラ樹上で本種幼虫の各発育ステージが存在し、8月中旬から9月中旬に新成虫が観察される(図1)。
- 6月から8月までの各時期に採取したウワミズザクラ果実を餌として飼育すると、2齢幼虫から3齢への発育率は果実の成熟と共に上昇する(図2)。
- 以上の調査結果から、ウワミズザクラはクサギカメムシの寄主植物であるといえる。
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成果の活用面・留意点 |
- 少なくとも秋田県において、ウワミズザクラ樹上におけるクサギカメムシの生息状況の観察は、産卵や羽化の時期など、本種の発生予察の参考になる。
- クサギカメムシ幼虫は多くの非寄主植物上でも観察されるので、発生量との関連については、多くの餌植物上における幼虫の生息状況を調査する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
カメムシ
ばら
防除
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