タイトル |
7月上中旬に収穫できる食味良好なモモ白肉新品種「はつひめ」 |
担当機関 |
福島農総セ果樹研 |
研究期間 |
1999~2008 |
研究担当者 |
岡田初彦
佐藤守
小野勇治
大橋義孝
木幡栄子
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発行年度 |
2008 |
要約 |
モモ中生種「あかつき」に極早生種「はつおとめ」を交配し、早生で大果のモモ新品種「はつひめ」を選抜、育成した。福島県での熟期は7月上中旬であり、果重は220~300g、糖度は10~14%である。肉質は滑らかで、多汁である。食味は香りが豊富で甘味である。
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キーワード |
モモ、果樹、新品種育種、早生種、「はつひめ」
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背景・ねらい |
福島県の早生モモの有利販売を確保し、中生種に偏重した福島県におけるモモの品種構成を改善するため、果実形質に優れ、食味など品質良好な早生新品種育成を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 「はつひめ」は、1999年に「あかつき」(♀)に「はつおとめ」(♂)を交配した交雑実生から選抜され、2008年2月18日付けで種苗法に基づく品種登録を申請した(図1)。
- 開花期は「あかつき」と同時期で、花粉はない。満開から約80日で成熟し、「日川白鳳」より7日程度早く、育成地(福島市飯坂町平野)において7月10日前後に収穫できる(図2、表1)。
- 果形は扁円形で、充実した側枝では豊満な果形となり、「あかつき」に似る(図1)。果皮着色は明るい赤で、初め縞が明瞭であるが、成熟期には着色が全面におよび縞が不明瞭となる。果肉色は白で核周りの色素は無である。果重は220~300gで早生種としては大果である。肉質は幾分、繊維が混じるが滑らかで、多汁である。食味は香りが豊富で、糖度は10~14%とこの時期としては甘味が多い(図3)。果実の日持ちは15℃で3~4日である。
- 樹姿は「あかつき」並みの中間、樹勢は「はつおとめ」より弱く、「あかつき」並みの中である。新梢は太く、「ふくおとめ」や「あかつき」に似る。また枝が硬く側枝は下垂しにくい。幹の肥大は緩慢である。
- 硬核期は満開後50日頃で「あかつき」と同時期である。着色開始期は硬核期から10~14日後、収穫始めは着色開始期から15~20日後頃である。
- 果肉内に紅色素が見られる。核割れの発生率は10%以下で早生種としては少ない方である。裂果、生理落果の発生は認められない。
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成果の活用面・留意点 |
- 花粉は無いが満開期が「あかつき」と同時期であり、自然交配が期待できるので混植園であれば人工受粉は必要ない。なお、防除上の問題から混植は困難と思われる。その場合は、人工受粉の実施が望ましい。
- 花粉が無いので摘蕾作業は省略できるが、短果枝を中心に50%程度の摘蕾は果実肥大確保に有効である。
- 苗木の販売は、県単独事業で育成された品種であるため、当面は福島県内限定販売となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
育種
受粉
新品種
新品種育成
品種
防除
もも
良食味
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