タイトル | 茶園でのチャ輪斑病潜在菌の簡易調査法 |
---|---|
担当機関 | (独)農業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
秋田 滋 山田憲吾 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 茶園の見かけ上健全な古葉を風乾し、湿室に入れることにより葉面上にチャ輪斑病菌の分生子角が形成される。輪斑病菌の検出率と分生子角形成程度により古葉での輪斑病潜在菌量を簡易調査でき、新葉での輪斑病の発生予測が可能となる。 |
キーワード | チャ輪斑病、潜在菌量、簡易調査、発生予測 |
背景・ねらい | 農薬については安全性や環境への負荷を軽減するため一層の使用量の削減が求められており、農薬の使用量削減の技術を早急に確立する必要がある。近年、発生が増加傾向にあるチャ輪斑病を発生予測して、効率的な防除を行って農薬使用量を削減する。輪斑病潜在菌は葉面に分生子角を形成するため形成された分生子角から茶園の潜在菌量を調査して、輪斑病の発生予測技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 病斑のない越冬葉、一番茶古葉を室内で20日間風乾後に、濡れたティシュペーパーを底に敷いた密閉できるプラスチック箱に置けば、9日後に葉面上に分生子角が良好に形成され、輪斑病潜在菌を簡易に検出、判定することができる(図1)。 2. 越冬葉、一番茶古葉30枚での輪斑病菌の分生子角の形成葉率、形成程度指数で間接的に簡易に茶園の潜在菌量を調査できる。 3. 分生子角の形成はコロニー状と散在状態で形成されるため、形成程度指数は、それぞれの形成状態に対応して2種類とする(図2)。 4. 越冬葉、一番茶古葉の調査で潜在菌量が多い茶園では新葉での輪斑病の発生も多くなり、調査結果と輪斑病の発生とが連動している(表1)。 5. 越冬葉、一番茶古葉での潜在菌量が検出葉率100%、分生子角形成程度指数50以上で新葉に輪斑病が発生する可能性が大きい。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 一番茶での発生を予測するためには4月上旬の萌芽前の越冬葉、二番茶での発生を予測するためには5月下旬から6月上旬の一番茶残葉の古葉が有効である。 2. 乾燥剤による急激な乾燥では分生子角の形成は低下する。 3. 分生子角からの分離菌の多くは輪斑病菌強毒種のPestalotiops longisetaの特徴を持ち、病原性を有してる。 4. 調査では技術の講習、専用の機械、器具を必要としないので防除所員、普及員、農協指導員のみによる実施が可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 乾燥 茶 農薬 防除 |