タイトル | 捕食性天敵ウヅキコモリグモに悪影響の少ない殺虫剤 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2004~2005 |
研究担当者 |
河野勝行 浜村徹三 武田光能 |
発行年度 | 2005 |
要約 | コナガ、ヨトウムシ等露地野菜害虫の天敵であるウヅキコモリグモ若齢幼体に対して、ネオニコチノイド系殺虫剤1種類、その他の合成殺虫剤2種類、BT剤3種類は悪影響が少ない殺虫剤であり、露地野菜のIPMに適している。 |
キーワード | ウヅキコモリグモ、IPM、殺虫剤の影響、露地野菜、コナガ |
背景・ねらい | 野菜栽培におけるIPM(総合的病害虫管理)では、施設野菜害虫に対する生物農薬の利用が推進されつつあるが、露地野菜害虫に対して利用できる生物農薬は限られているため、土着の天敵を保護利用することが露地野菜害虫のIPM体系確立のために必要となる。そこで、コナガ、ヨトウムシ等の害虫に対する徘徊性の捕食性天敵で最も一般的にみられるウヅキコモリグモに対する薬剤の影響を明らかにし、ウヅキコモリグモを保護利用したIPM体系で使用できる薬剤を選択する。 |
成果の内容・特徴 | 1. キャベツまたはレタスに登録のある殺虫剤を対象として、ウヅキコモリグモ若齢幼体に対する農薬の影響をIOBC(国際生物防除機構)の室内試験の基準に準拠して死亡率で評価すると、11種類の薬剤で悪影響が少ない(表1)。 2. BT剤(微生物農薬)3種類はいずれも死亡率30%未満で悪影響が少なく、IPMに適した薬剤と判断される。 3. ネオニコチノイド系殺虫剤のチアメトキサム水溶剤、その他の合成殺虫剤に分類されるピリダリル水和剤、インドキサカルブMP水和剤も死亡率30%未満で悪影響が少なく、IPMに適した薬剤と判断される。 4. IGR剤(昆虫生長制御剤)のクロルフルアズロン、テフルベンズロン、ルフェヌロン、フルフェノクスロン、クロマフェノジド水和剤の各乳剤の脱皮への影響は検討していないが、散布24時間後の死亡率はいずれも30%未満である。 5. DDVPを除く有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系殺虫剤はいずれも悪影響が強い。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ウヅキコモリグモに悪影響の少ないこれらの殺虫剤はコナガ、ヨトウムシなどに有効な薬剤が多く、複数の系統の薬剤が含まれているので、これらの薬剤をローテーションして選択すれば、対象害虫の薬剤抵抗性の発達を阻止しながら、土着天敵も保護利用した露地野菜におけるIPMの推進が可能である。 2. この成果は各種露地野菜において利用できるが、各作物に対する農薬登録の有無を確認した上で利用する必要がある。 3. 供試したウヅキコモリグモ若齢幼体は、三重県津市安濃町の野菜茶業研究所内で採集した雌成体に由来するものである。若齢幼体はもっとも薬剤感受性が高い生育段階であると考えられる。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 キャベツ 茶 抵抗性 土着天敵 農薬 防除 薬剤 野菜栽培 レタス |