オンシツコナジラミ中腸上皮細胞膜はTomato yellow leaf curl virusの侵入を阻止する

タイトル オンシツコナジラミ中腸上皮細胞膜はTomato yellow leaf curl virusの侵入を阻止する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2006~2008
研究担当者 寺見文宏
大西純
北村登史雄
本多健一郎
発行年度 2008
要約  トマト黄化葉巻病の病原ウイルス(TYLCV)の媒介虫タバココナジラミと非媒介虫オンシツコナジラミとでは、両者とも吸汁後2週間までTYLCVが検出される。TYLCVは、前者の中腸細胞内に侵入・循環するが、後者では中腸上皮細胞膜の表面に留まって細胞内侵入が阻止される。
キーワード トマト黄化葉巻病、コナジラミ類、媒介昆虫、TYLCV、中腸上皮細胞膜
背景・ねらい  トマトの難防除虫媒性ウイルス病害であるトマト黄化葉巻病(病原:TYLCV)は、1996年に九州・東海地域で初めて発生が確認され、媒介昆虫タバココナジラミの分布拡大に伴い、東北地域南部まで発生している。タバココナジラミは広範囲の植物種を寄主とし、同じコナジラミ亜科に属するオンシツコナジラミとその寄主範囲を同じくするが、オンシツコナジラミはTYLCVの非媒介虫である。タバココナジラミでの媒介は、感染植物の吸汁液中のウイルスが、中腸細胞内へ侵入後、血リンパに乗って虫体内を循環して唾液腺に達し、健全植物への吸汁の際に唾液と伴にウイルスが放出されて起こることが知られている。そこで、虫体内でのウイルスの動態を2種コナジラミ類において比較解析し、TYLCVの虫媒性が異なる原因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. トマト黄化葉巻病に罹病したトマト葉上で吸汁させたタバココナジラミとオンシツコナジラミから、DNAを抽出してPCR検定すると、両者ともに体内へのTYLCVの取り込み・蓄積が認められる。蓄積ウイルス量は吸汁時間に従って増加する (図1A)。虫体内を循環する血リンパを含む組織からのTYLCVの検出では、前者では検出されるが、後者では検出されない(データ略)。
  2. タバココナジラミとオンシツコナジラミに、罹病したトマト葉を24時間吸汁させると、その後TYLCVが感染しない健全キャベツ葉上で飼育しても、虫体内でTYLCVが保持される。TYLCVを媒介しないオンシツコナジラミでも、ウイルス量が低下することなく保持される (図1B)。
  3. タバココナジラミの体内では、TYLCVが中腸細胞内に侵入する。一方、オンシツコナジラミでは、TYLCVは中腸管内腔と中腸上皮細胞膜表面に留まるのみで、細胞内への侵入が阻止される(図2)。従って、オンシツコナジラミでは、中腸上皮細胞膜によりTYLCVの侵入が阻止されるために、ウイルスの媒介ができないと考えられる (図3)。
成果の活用面・留意点
  1. TYLCVが媒介されるためには中腸上皮細胞内への侵入・循環が必要であるという知見は、TYLCVとタバココナジラミとの親和性を解明する上で貴重な基礎情報となる。
  2. オンシツコナジラミでもTYLCVを保持することから、野外における保毒虫の発生調査等では、タバココナジラミとの種判別を正確に行い検定に用いる必要がある。
図表1 233142-1.gif
図表2 233142-2.jpg
図表3 233142-3.gif
カテゴリ 病害虫 キャベツ タバココナジラミ トマト 防除

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