水抽出による土壌の珪酸供給力の迅速診断法

タイトル 水抽出による土壌の珪酸供給力の迅速診断法
担当機関 宮城県農業センター
研究期間 1988~1990
研究担当者
発行年度 1989
成果の内容・特徴
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. 水稲の珪酸栄養は、土壌の供給力によって大きく制約を受けているが、現在、
      土壌の珪酸供給力を適確かつ簡易に測定する方法はない。そこで、均一栽培ポット試験
      による水稲の珪酸吸収量と様々な方法による土壌抽出珪酸との関係を重回帰解析により
      調べた。その結果、未風乾土壌の水抽出珪酸に交換性カリを組み合わせた式が水稲の
      珪酸吸収をもっともよく説明することが分かったので、迅速診断法として提案する。
    2. 土壌型と水稲の珪酸吸収量
      宮城県の代表的14圃場の水田土壌を用いたポット栽培による水稲の珪酸吸収は、
      泥炭、粗粒質、黒ボク土及び残積土で低く、細粒の低地土で高い。この結果は
      一般的な土壌型別の珪酸供給力とよく符合した。100g乾土に換算した吸収量は、
      多い土壌(130mgSiO2)と、少ない土壌(32mg)とでは、約4倍の開きがあり、
      土壌により珪酸の供給力に大きな差があることを示した。
    3. 水稲の珪酸吸収と従来法可給態珪酸および土壌化学性との関係
      2か年にわたる時期別の珪酸吸収量をY、抽出珪酸及び土壌分析値をXiとして
      重回帰分析をおこなった。従来の可給態珪酸(pH4.0酢酸ナトリウム抽出)は、一例を
      除いてほとんど有意な説明変数となりえず、むしろCEC、他交換性カリ、Bray燐酸が
      土壌ごとの珪酸供給力の違いをよく説明した。
    4. 水稲の珪酸吸収と水抽出及び還元溶出珪酸との関係
      土壌珪酸の水抽出(土1g:水5ml比、1hr振とう)または、還元溶出(土1g:水20ml、40度C、
      一週培養)を行い、これらを説明変数とすると、いずれの時期の珪酸吸収とも交換性カリ
      を副因子として高い相関関係を示した。なかでも未風乾土水抽出珪酸値は相関係数、
      有意性とも高く、単独でも充分に土壌の珪酸供給力を説明した。
  2. 技術・情報の適用効果
    1. 未風乾土の水抽出による珪酸値は、土壌型別の水稲珪酸吸収とよくあてはまり、また、
      著しく簡便かつ迅速であるため、指導現場における土壌珪酸の診断に有効に
      活用できる。
  3. 適用の範囲
    全国一円
  4. 普及指導上の留意点
    風乾土を水抽出した場合は、吸収量との相関が劣り、乾燥により珪酸の形態が変る
    ものと考えられるので、栽培跡地土壌を未風乾のまま、5mmの篩で調製する。
    表1. 可給態珪酸,AVSi(pH4酢酸抽出)を変数に取り込んだ重回帰分析結果
    表2. 未風乾土水抽出珪酸と交換性カリによる珪酸吸収量の推定式
    図1. 時期別珪酸吸収量における実測値と推定値の関係

図表1 233200-1.gif
図表2 233200-2.gif
図表3 233200-3.gif
カテゴリ 肥料 乾燥 水田 水稲

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