タイトル |
ナシ果面に対する薬剤散布の影響 |
担当機関 |
福島県果樹試験場 |
研究期間 |
1988~1989 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1989 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
「幸水の果面傷害」
- 薬剤散布によって収穫時の幸水の果面に、縦縞模様やまだら模様が発生する。
- 発生要因は、主として薬剤に含まれる界面活性剤や雨の作用によって、果皮の
クチクラが壊される(クチクラ傷害)ためである。
- クチクラが壊れた部分にコルク細胞が形成されるが、このコルク形成が、不均一
となることがある。そのため縦縞模様やまだら模様が発生する。
- 以上の現象を、幸水の果面傷害と呼ぶことにし、その発生程度は薬剤の種類によって
大きく異なる(表1、表2)。 「豊水の果点荒れ」
- 薬剤散布によって、収穫時における豊水の果点コルク層が褐変し、果面の一部が
淡褐色のシミ状を呈する。これに特定の薬剤が関与する (表3)。
- 技術・情報の適用効果
「幸水の果面傷害」
- 果面傷害の発生程度は、幸水の収穫時に果皮のコルク化程度と縦縞の発生程度を
調査することによって判定できる。
- 果面傷害が最も激しく発生しやすい時期は7月である。
- 幸水の果実外観を損ねる要因は、果皮のコルク化の不均一と縦縞模様の発生である。
コルク化指数と縦縞指数との間には、コルク化が進んだ薬剤ほど縦縞の発生が少ない。 果面全体をコルク化させるような薬剤を使用すると、縦縞の発生も少なくなり、 果面傷害が軽減される。
- 果皮のコルク化を促進し、果面傷害の発生が少ない薬剤は、殺菌剤では
キャプレート水和剤、ベンレート水和剤、トモキシラン水和剤であり、殺虫剤では エストック乳剤、ダイアジノン水和剤、ダーズバン水和剤であった。 「幸水の果点荒れ」
- 豊水の果点荒れは、ダーズバン水和剤を7月下旬から4回連用した区にのみ発生し、
同剤の1~2回の散布でも被害が発生する可能性がある。
- 適用の範囲
「幸水の果面傷害」;幸水栽培地域全体 「豊水の果点荒れ」;豊水栽培地域全体
- 普及指導上の留意点
「幸水の果面傷害」
- 幸水の6~7月の防除時には、果面傷害の少ない薬剤を選択して使用する。
「豊水の果点荒れ」
- 豊水の7月下旬以降のハマキムシ類防除剤には、ダーズバン水和剤以外の殺虫剤を
使用する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
ストック
防除
薬剤
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