タイトル |
ブドウ新品種‘ノースレッド’ |
担当機関 |
秋田県果樹試験場 |
研究期間 |
1986~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1990 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
- “ノースレッド”は、農水省果樹試験場安芸津支場で昭和51年“セネカ”×
“キャンベル・アーリー”の交配組合せから選抜した個体で、系統名は安芸津4号 である。
- ブドウ第4回(寒地向き)系統適応性検定試験供試系統として1985年3月19日穂木4本を
配布され、直ちにT-5BB(V・F)を台木に接木し、6月8日本圃に定植した。1986年初結果 し、以来5ヵ年樹性、果実特性を継続して調査した。
- 樹は樹勢中位、耐寒性は強くキャンベル・アーリーと同等、花穂の形成はキャンベル・
アーリーよりやや劣るが通常1結果枝に2花穂形成される。開花期はキャンベル・ アーリーと同時期、花ぶるい性は中位である。耐病性は強い部類に属し全体として 栽培は容易である(表1)。
- 果実は、満開65~70日後平年で8月6半旬に成熟期に入る。果粒は鮮紅に着色し美しい。
粒重は4.5g程度でキャンベル・アーリーより小さい。含核数は平均2.7個、果房重は 250g程度でやや小さい。果実の棚持ちは成熟期に入ってから20日以上ですこぶる良い (表3)。
- 食味は果肉軟塊、果皮はやや厚いが、糖度高く甘味比40以上に達し、ほどよい香りが
うまさを引立てている。果粒の裂果はキャンベル・アーリーより少な目である (表2、表4)。
- 5ヵ年の結果から、生産力はキャンベル・アーリーより低いと考察したが成熟期、
容易な栽培性、優れた食味などから本県における経済栽培性は高い。
- 技術・情報の適用効果
- 本県の主力品種であるキャンベル・アーリーは、消費離れにより需要が減退して
経済性の低下が著しい。
- “ノースレッド”は成熟期が8月下旬で早く、東北地方特有の9月の秋雨前に収穫が
可能である。
- “ノースレッド”は糖度が高く、酸は低く甘味比が40以上となり、加えて種子離れも
良いことから食べ易く、香りを伴った食味は優れ、キャンベル・アーリーの補完品種 として期待でき、消費ニーズに応えた経済性の高い品種である。
- 現地試験の結果、県北部、県南部いずれの気象条件でも生育、果実品質とも良好な
結果を認めた。
- 適用の範囲
県内全域
- 普及指導上の留意点
- 樹勢を維持し生産力を高めるために土壌改良を積極的に進める。
- 結実した果粒の種子数が多いので果粒の肥大は期待できるが、栽培環境によって左右
される。
- 果実の棚持ちはすこぶる良いが、9月中旬以降過熱になると果粒の裂果が多くなるから、
過剰な着果を避け適期の収穫を心がける。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
馬
寒地
栽培技術
新品種
耐寒性
台木
土壌改良
品種
ぶどう
良食味
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