タイトル |
作物切り替え時技術の経営的評価 |
担当機関 |
宮城県農業センター |
研究期間 |
1988~1990 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1990 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
稲・麦・豆輪作体系のなかでの技術的な問題点である作物切り替え時技術について、小麦立毛間大豆 播種技術を対象に、評価のためのチェックリストを用いて検討し、確認または改善すべき項目等を 摘出した。
- メリット等
- 資材費関係:播種量の減と土壌改良資材の散布がないため、ケース1(歩行)・ケース2(乗用)とも
5,123円減少し、省資材でメリットは大きい。
- 償却費用:ケース1では、トラクターのほか播種機を除く作業機を使用しないため1,254円減少し、
ケース2では、トラクターが別機種になるがほぼ同価格であるほか、ケース1と同じで1,210円減少し ともに省資材でメリットは大きい。 なお、播種機の価格は歩行・乗用とも現時点での見積価格であり、今後の改良・開発によって 償却費は変動する。
- 労働時間(労働費)関係:麦稈処理、酸度矯正、耕起・砕土作業が省力できる一方、播種、施肥作業は
麦損傷・脱粒、大豆踏圧・損傷等の回避から多労となるが、ケース1、2とも80分短縮(1,333円減少)し、 省力でメリットは大きい。 しかし、播種作業時間はケース1,2とも同じであり、乗用での高能率をねらったケース2の メリットは相対的に小さい。
- 収益関係:費用の減少分を収量に置き換えると、ケース1、2とも約14%の減収に相当し、
その時の収量は約172kg/10aである。
- 確認・改善項目等:適期播種による増収効果と関連作業の変更による減収とが拮抗しており、
確認または改善すべき項目はまだまだ多い。
- 播種量の変更と発芽率や苗立率の関係を確認する必要がある。
- 堆肥・土壌改良資材の輪作体系のなか(前作の麦)での投入の可否とその効果の持続性を
検討する必要がある。
- 麦稈処理、酸度矯正、耕起・砕土作業の変更による初期育成阻害度合やそれがその後の
生育・品質・収量に及ぼす影響を確認する必要がある。
- 部分耕起の可否や播種溝の有無・大小、播種深度、覆土の有無とその資材の種類・量、
また、耕起・施肥・播種・除草等同時作業の可否や側条施肥等も検討する必要がある。
- 開発途中の播種機はケース1、2とも2条であるが、4条以上の、特に、ケース2ではより
作業効率の高いものに改良する必要がある。
- 総合評価
- 麦立毛間大豆播種技術を悪天候時における晩播回避のための一選択肢と位置づけるか、
あるいは、田畑輪作体系における常時の作物切り替え技術と位置づけるかによって、 それに関連する部分技術(作業)の変更内容が変わり、期待収量も変わるので、最終目標 を再検討する必要がある。
- 土壌改良資材を投入しないことが費用減少額の約63%を占めており、その影響を再確認し、
検討する必要がある。
- ケース1では、歩行のため、相当雨天が続いた場合での適期播種が可能であり、不良天候ほど
そのメリットは大きい。
- ケース2では、籾水分等から収穫のみできず播種が可能な場合にはメリットが特に大きいが、
圃場に入れない場合にはメリットは無い。 また、播種機をケース1以上のより作用効率の高いものに改良しなければ、メリットは ケース1より相対的に小さい。
表 小麦立毛間大豆播種枝技術評価のためのチェックリスト - 技術・情報の適用効果
開発途中である小麦立毛間大豆播種技術について、経営的視点から評価した結果を、切り替え 時技術開発の方向づけや細部の部分技術改良・開発に反映させることによって、 現地適応性の高い技術開発につながる。
- 適用の範囲
輪作体系化のための切り替え時技術の開発を担当する技術研究者及び経営研究者
- 普及指導上の留意点
小麦立毛間大豆播種技術についての経営的評価を試みたが、開発途中の技術であるために 不確定要素も多く、今後、生産技術・作業技術及び経営分野が相互に協力して評価の 精度を高め、技術開発に活かす必要がある。
|
図表1 |
|
カテゴリ |
病害虫
くり
経営管理
小麦
除草
施肥
大豆
土壌改良
播種
輪作体系
|