風洞実験による地上風系のメッシュ化と霧の動態予測への利用

タイトル 風洞実験による地上風系のメッシュ化と霧の動態予測への利用
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1989~1991
研究担当者
発行年度 1991
成果の内容・特徴
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. やませの常襲地域(岩手県三陸海岸の種市町周辺)を対象とした地形模型
      (図1)を大型風洞内に設置して得られた
      やませ風系の測定データ、及び同地点での地形のデータを合わせて
      メッシュデータファイルを作成した。
    2. やませ気流は低地部分を通って内陸部へ侵入しやすく、谷の入り口では
      気流が収束し、水平方向速度の増大(図2)
      と上向き風速成分の発生が認められた。
    3. 農耕地と林地の混在する表面粗度の大きい地域で摩擦速度は大きく、
      農耕地のみの租度の小さい地域で小さい(図3)。
      摩擦速度増大は乱流混合を促進することから、防霧林の効果が期待される。
    4. 海岸段丘や孤立峰など、周囲より標高が高い地形の頂上付近で摩擦速度
      が減少(図3)し、気流が押し上げられ地表面を
      離れて流れた。
    5. 実際、地形を表すパラメータとして次式で定義されるdelta

      (標高の二次微分のようなものにあたる)を用い、鉛直方向風速・摩擦速度との
      関係を調べると(図4)、標高が周囲より
      盛り上がった凸型の地形(delta0)で気流が浮き上がり摩擦速度が減少する一方、
      凹型の地形(delta>0)では逆に、地表面へ巻き込まれて下降気流が生じ摩擦速度
      の増大が認められ、4の効果を定量的に見積もることができた。
    6. 種市町では霧が上層を通過する海岸段丘後背地付近に農耕地が分布し、
      農耕地は経験的に霧の少ない場所に分布していると考えられる。
  2. 技術・情報の適用効果
    農耕地基盤整備など地形や表面粗度の変更が予想される場合の事前評価、
    あるいは、防霧林等施設の適正配置計画に利用できると考えられる。
  3. 適用の範囲
    主に東北地方太平洋側のやませ常襲地帯
  4. 普及指導上の留意点
    本実験データは、浮力の効果がでないように気温の低い冬期に計測されたものであり、
    温度の鉛直勾配が大きい場合には(5)の傾向が顕著となる。

図表1 233600-1.gif
図表2 233600-2.gif
図表3 233600-3.gif
図表4 233600-4.gif
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